「塩はすべての基本、究極です。塩がなければ生命維持はできないし、味噌やしょうゆなどの調味料も作れません」と語るのは、「塩遊び」と「発酵食作り」がライフワーク、薬膳にも造詣が深い料理家の井澤由美子さん。
ブームになったレモン塩をはじめ、梅干しや漬物などの塩蔵ものや、塩とシンプルな調味料で生み出す旬の味覚も、井澤さんにとっては塩遊びだ。20年ほどかけて国内外から集めた塩は700種類以上。数年前から人に譲るなどして絞り、大きく3種類の塩を使い分けている。
「塩を選ぶ際は、まずはマグネシウムの含有量と結晶の大きさを目安に。マグネシウムが多いと、比較的塩らしい苦味を感じます。結晶の細かさや塩分量によって塩味は変わり、粒が大きければ舌に当たる表面積が少ないのでマイルドに感じることも」
マグネシウムは食材を硬くする作用があるため、柔らかく仕上げたい時は含有量が少ないものを使い、魚に塩を振る際は結晶が小さいものに。またサラダなら食感が味わえる結晶の大きいもの、下ごしらえの塩とは違う塩を仕上げに使い味に奥深さをプラスすることも。
「手塩にかけるとか、塩梅という言葉があるように、細やかに塩加減を調整することで、料理の味が決まります。ご自分がおいしいと感じるベストパートナー塩を見つけて、塩遊びを楽しんでくださいね」