くらし

ものは減らさず素敵に暮らす、平井かずみさんの空間を美しく整えるコツ。

ものは少なくないけれど、快適な空間をつくる工夫を平井かずみさんに聞きました。
  • 撮影・徳永 彩(KiKi inc.) 文・黒澤 彩

使ったものを戻す。すべての居場所が決まっていれば安心。

今年、引っ越しをした平井かずみさん。偶然出合った築50年近いという家は、オーナーさんが自ら手がけたこだわりの内装で、まるでフランスの古民家。平井さんが前の家でも使っていたアンティーク家具が、誂えたようにぴったり収まっている。

仕事柄、花の道具や器など、たくさんのものに囲まれて暮らしているのに、不思議と雑然とはしていない。こんなふうに美しく整えるコツは?

「実は私、片づけがあまり得意ではないんです。人生の3分の1は探しものをしているし、引っ越しのとき、自分でも驚くほどものが多くて、どうしたものかと頭を抱えてしまったほど。なので、この家では『戻す』ことを大切にしています。使ったら戻せる、ものの居場所が決まっていれば、散らからないし、探しものもしなくてすみます」

結果として、ものを減らさなくてもすっきり片づいた印象に。捨てるのが苦手な皆さん! 平井さんの、愛しいものと暮らす片づけ術を、ぜひ参考に。

こまごましたものはトレーにまとめる&布でカバー。

棚上の高台のトレーには、使用頻度の高いアクセサリーを、布をかけた浅い器にはイヤホンやメガネなどを収納。「アクセサリーはなくさないように、定位置を決めています。ダイニングで使う小物類は布でカバーすれば、雑然とせず、ほこり除けにもなりますよ」

棚は余白をつくり、色や質感別に並べる。

花器や茶器などを収めた棚は、詰め込みすぎず、余白を大事にすることで美しく見せている。「たくさん収納するときには、ガラスの段、白い器の段というふうに、色や質感を揃えて並べることですっきりした印象に。見せる収納は、余白と統一感がポイント」

“とりあえず”の 一時置き場を決めておく。

テーブルや棚の上に置きっぱなしにしないために、椅子を一脚、ものの居場所に譲った。「椅子に浅めのカゴを置き、郵便物や紙ものを入れています。溜まったら整理。一時置き場なので、溜めすぎないように、あえて容量の少ない浅いカゴを選びました」

よく飲むお茶類は ひとまとめに。

「中国茶やハーブティーが好きで、茶葉が何種類もあります。棚上に並べてもいいのですが、トレーにまとめると、きちんとコーナーができて片づいた印象になります」。はちみつなどの瓶類もここに。

自然素材の道具は 出しっぱなしでも美しい。

キッチンで使う道具や調味料入れは出したまま。それでもうるさくないのは、竹のカゴ、木のまな板、土の器といった素材のものを揃えているから。「天然素材の道具は佇まいが美しいので、隠しておく必要がありません」。実はものの選び方が、片づけの第一歩!

本やブランケットは手が届く場所を 定位置に。

くつろぐための空間では、ソファに座ったまま手に届く位置にお気に入りの本とブランケットを置いている。

ソファの傍らには、大切な手紙を入れたカゴも。ときどき取り出して読み直す時間も至福。

「リラックスしたいとき、何気なく手に取れるところに好きなものがあるって大事なことです。ただし、本は増えすぎないように厳選していますよ」

平井かずみ

平井かずみ さん (ひらい・かずみ)

フラワースタイリスト

本誌目次ページで「花に、託して。」を好評連載中。著書に『花のしつらい、暮らしの景色』(扶桑社)などがある。

『クロワッサン』1103号より

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