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冷凍生活アドバイザーに聞く、最新の冷蔵庫活用メソッドまとめ。

冷蔵庫は毎日使う家電だけに、気をつけて管理しないと食材のデッドストックで満杯状態に。
そんな困った事態を解消すべく、最新の冷蔵庫活用メソッドをまとめました。
まずは知っておくべき基礎知識からおさらいしましょう。

イラストレーション・川合翔子 文・小沢緑子 写真提供・サンマーク出版

冷凍生活アドバイザーの西川剛史さんに聞く、冷凍冷蔵の豆知識

Q.冷蔵と冷凍。専門家はどう使い分けている?

冷蔵庫定番の肉や野菜は、冷蔵用だけでなく、冷凍用にも振り分け。冷凍比率を高めるとより便利。
冷蔵庫定番の肉や野菜は、冷蔵用だけでなく、冷凍用にも振り分け。冷凍比率を高めるとより便利。

A.
「仕事柄、冷凍庫はいつもパンパンですが、冷蔵室はその日か長くても1週間以内に使い切る分しか入れません。特に生鮮食品は買ったその日から鮮度が落ちていくので、スーパーで選んでいるときから『これは今日使う冷蔵用』『全部は使い切れないから半分は冷凍用にしよう』と、どんどん振り分けながら買うようにしています」と、冷凍生活アドバイザーの西川剛史さん。

その冷蔵と冷凍バランスについて、西川さんからこんな提案が。

「冷蔵室の中のものを1週間以内にどううまく使い切るかは実践している人は多いと思います。そのうちの何割かでも、買ってすぐ新鮮なうちに冷凍保存する“冷凍比率”を上げていくと、『今日中に使わなくちゃ』という食材縛りから解放されます。毎日の献立作りももっとラクになると思いますよ」

コロナ禍以降、各家庭でのホームフリージング率が高まっているというが、冷蔵庫をもっと快適に効率よく使うために、次のQ&Aから冷凍の基本ルールや応用編もおさらいしておこう。

Q.「冷凍」することのメリットは? 基本を知っておこう。

新鮮なうちに冷凍すれば、食材の栄養価が失われにくい。野菜のビタミンCも少し減る程度という。
新鮮なうちに冷凍すれば、食材の栄養価が失われにくい。野菜のビタミンCも少し減る程度という。

A.
「冷凍の2大メリットが、(1)『マイナス18度以下で冷凍保存することで、保存料を使わなくても安全に長期保存できる』、(2)『品質だけではなく、栄養も守られる』です」

(1)については、家庭用冷凍庫の温度設定は“マイナス18度以下”が基本で、この温度帯が腐敗の原因となる菌類や微生物などの働きを抑えてくれるから。

「(2)の栄養も守られるについては、新鮮なうちに早めに冷凍することが条件。適切な方法で冷凍すると、1カ月経っても栄養素の中でも不安定になりがちなビタミンCの残存率も少し減る程度、というデータがあります」

この2つの要素により、食材がよい状態でキープできるのはもちろんだが、「まとめ買いをしても冷凍保存をうまく活用すればムダなく使え食品ロスが防げ、食費の節約にもつながります。計画的に冷凍すれば買い物の手間も減らせますし、結果的に“時間、栄養、お金”の3つが貯まる冷凍貯金の恩恵が受けられる。冷凍によるメリットを積極的に活用してほしいです」。

Q.上手に冷凍するための必須ルールは?

ラップは張り付ける。また冷凍品は温度上昇に弱いので、扉の開閉を減らすためにも冷凍庫を整理整頓。
ラップは張り付ける。また冷凍品は温度上昇に弱いので、扉の開閉を減らすためにも冷凍庫を整理整頓。

A.
「まず、食材は買ったら鮮度が高く栄養価が一番高いその日のうちに今日食べる分、食べない分に分け、『食べない分は即冷凍』に尽きます。これで食材のおいしさの8割以上が保てます」

次に「空気を遮断する包み方」を。

「冷凍庫の中は空気中の水分が凍って下に落ちるため、極度な乾燥状態。食材が空気にさらされると乾燥と酸化が進むので『ラップで包むときは、表面にぴったり張り付かせる』『冷凍用保存袋に入れるときは、空気をしっかり追い出してから閉じる』。買ったときの商品袋のまま、トレーごと冷凍するのは劣化しやすいので避けてほしいです」

さらに、保存袋の場合は、空気を抜いた後に、できるだけ速く凍らせるために「食材を薄く平らな状態にする」。

「厚みがあると凍結時間が長くかかるため、食材の水分が大きな氷結晶になり細胞を壊し、食感が悪くなり、旨みや栄養も流れ出てしまいます。たとえば細切れ肉や挽き肉なら保存袋全体に行き渡るよう、1.5cmくらいの薄さで均一に広がるように手で広げましょう」

Q.保存容器は何を使う? おすすめは?

冷凍用保存袋は厚めでWジッパー、容器は小さなものも便利。ごはんは専用コンテナがおすすめ。
冷凍用保存袋は厚めでWジッパー、容器は小さなものも便利。ごはんは専用コンテナがおすすめ。

A.
「おいしく冷凍するためには乾燥と酸化を防ぐことが必須なので、食品用ラップと冷凍用保存袋は欠かせません」

ラップは食材をぴったり覆うことができるよう、密着性が高いものを。

「保存袋は、厚手の冷凍用を使うことをおすすめします。厚みは0.06mm以上が目安。さらにしっかり閉じられるWジッパータイプのほうが、冷凍庫内の乾燥と酸化からより守ってくれます」

使いかけだったり、切り口が露出する商品は、ラップを表面に張り付けてから、さらに保存袋に入れておくほうが鮮度もおいしさも失われにくい。

保存容器は、水分が多い料理や小さな食材の整理用に。

「密閉性が高く、やはり電子レンジ対応のものが使いやすいです。特にごはん専用の保存容器はおすすめできます。ラップで包むのももちろんいいのですが、最近の冷凍ごはん用の保存容器はおいしく冷凍でき、電子レンジで温めるときにムラなく加熱できるよう考えられた設計のものがあり便利。いつも同じ量を冷凍できるのもポイントです」

Q.ほかにも便利な冷凍術は? 逆に冷凍NGのものは?

殻付きエビや貝、切れ目を入れていない魚も容器で水ごと冷凍。氷の膜に覆われて鮮度が保てる。
殻付きエビや貝、切れ目を入れていない魚も容器で水ごと冷凍。氷の膜に覆われて鮮度が保てる。

A.
「ラップや保存袋で冷凍する以外に、保存容器で水ごと凍らせる“氷漬け”の冷凍法もあります。切り身ではなく魚を1尾、殻付きエビなど、鮮度を長持ちさせたい魚介類向き。アサリやしじみなどの貝類は砂抜きしてから氷漬けにし、使うときはそのまま鍋で加熱すれば汁物が出来上がるので便利です」

また、ラップを巻いて丸ごと冷凍すると調理しやすくなる食材もある。

「キウイは凍ったまま水に漬けるだけ、里芋はラップのまま電子レンジで加熱すると皮がつるっと剥けます」

冷凍NGのものは?

「基本的にありません。たとえば、冷凍するイメージがない豆腐、こんにゃくも、冷凍すると新たなおいしさが味わえる“変身食材”。豆腐は肉のようなしっかりとした食感になり、肉代わりに唐揚げやそぼろ丼の具にしても。こんにゃくはコリコリとした弾力のある食感に変わり、細かく刻んでキーマカレーやチンジャオロースの具にも使えます。卵は一押し。黄身が固まって、もちっとした新食感を楽しめますよ」

Q.もっと便利になる冷凍術の応用編、 上級編を教えて。

きゅうりは1本丸ごと、輪切りにして塩もみするなど、用途別に冷凍しておくと便利で時短になる。
きゅうりは1本丸ごと、輪切りにして塩もみするなど、用途別に冷凍しておくと便利で時短になる。

A.
「食材をまとめ買いしたり、丸ごと買って一度に使い切れないときは、ただ包んだり保存袋に入れて冷凍するより、料理の用途別に切り方を変えるなど、調理にすぐ使えるように下ごしらえをしてから冷凍すると重宝します」

たとえば、キャベツはざく切りと細切り、玉ねぎは薄切りのほかくし形切りとみじん切りにも。

「大根は、同じいちょう切りでも厚めなら煮物用、薄めなら塩もみして漬物用、おろしておけば大根おろし用にすぐ使えます。きゅうりは輪切りなら塩もみや酢漬けにして調味液ごと、あるいは1本丸ごと冷凍すると塩を使わなくても水分が抜けてしんなりするので減塩メニューに使えます」

肉や魚でおすすめなのが、下味冷凍。

「醤油やみりん、焼き肉のタレなどの調味料やオリーブオイルなどと一緒に入れて漬け込む下味冷凍は味もしみこみますし、生のまま冷凍するより長持ちして乾燥防止対策に。調理するときも加熱するだけでもおいしく仕上がるので、冷凍術では特におすすめです」

Q.解凍法は? おいしく食べるための注意点はある?

短時間に解凍できる流水解凍(上)。肉や魚は冷たい水温が品質を守る氷水解凍(下)がベスト。
短時間に解凍できる流水解凍(上)。肉や魚は冷たい水温が品質を守る氷水解凍(下)がベスト。

A.
「解凍法も大事です。“魔の温度帯”と呼んでいますが、常温(10〜40度)で解凍すると細菌が繁殖しやすいうえ、食材の旨みや栄養がドリップ(水分)と一緒に流れ出てしまいます」

特に常温解凍を避けたいのは、劣化しやすい生の肉や魚。

「氷水に保存袋のまま沈める『氷水解凍』が一番おいしく解凍できます。それ以外の食材も水を張ったトレーに入れて少しだけ水を流す『流水解凍』。氷水解凍より短時間で解凍できます。野菜の場合は凍ったまま強い火力で一気に調理する『加熱解凍』もおすすめ」

ちなみに電子レンジでの解凍は、外側は溶けても内側が凍っている解凍ムラが起きやすく、加熱モードでそのまま調理してしまうのがおすすめという。

「できるだけ短時間に解凍するためには、前述した薄く平らに冷凍する基本ルールを守ることも大切。薄切り肉や挽き肉なら、薄く冷凍しておけば使いたい分だけパキッと折ってそのまま焼いたり炒めたり、加熱解凍もできるので一石二鳥です」

  • 西川剛史

    西川剛史 さん (にしかわ・たかし)

    冷凍生活アドバイザー

    冷凍食品会社での商品開発などの経験を活かし活躍。家庭での冷凍の悩みが全解決する、著書『冷凍王子の冷凍大全』(サンマーク出版)が好評。

『クロワッサン』1095号より

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