〝旅は憂いものつらいもの〞なんて昔は言われたんだそうです。確かに乗り物もなく、さまざまなリスクも現代より多かったという時代、まさに命がけだったとか。
旅を扱った落語にも、道中でとんでもないトラブルに巻き込まれるものが少なくありません。「宿屋の仇討」なんて、題名からして物騒だし、「小間物屋政談」「抜け雀」など、波瀾の物語は数多いのです。
そこへゆくとこの「二人旅」という噺はまことに穏やか。何か大事件が起こるわけでもなく、爆笑する場面があるわけでもないのどかな物語です。
楽しく演じられるためには落語家に確かな腕が必要なのはもちろん、のんびりした雰囲気に身を委ねてくれるお客さまの成熟度も大事です。
けれども旅は想定外のことが何ひとつ起こらず、予定どおり…では物足りないのも確か。思わぬハプニングものちによい思い出となりますよね。昨今は旅行支援などもあって出かけるかたも多いようで。
楽しい旅行に一度ではなくたびたび(旅旅)行きたいものですね。