くらし

花の選び方、飾り方、手入れまで。改めてレッスン、切り花の生け方。

いちばん身近で、手軽に花を楽しめる切り花。
買ってきたら、できるだけ長く楽しみたい。生けるときのひと手間と手入れを習慣にしよう。
  • 撮影・小禄慎一郎 文・黒澤 彩

家に少し花があるだけで、気分が華やぐもの。切り花ならいつでも季節の花を楽しむことができる。

「花は好きなように生けて楽しんでほしいと思いますが、基本的なコツや花の扱い方を知っているだけで、仕上がりも花もちも違ってきますよ」

とは、インスタグラムなどでの花のスタイリングが人気の増田由希子さん。とくに、長もちさせるためには、生ける前のひと手間と、水替えなど日々の手入れが肝心だそう。

「せっかく好きで選んだお花ですから、少しでも長もちさせたいですよね。花の水がきれいだと自分も気持ちがいいはず。水替えなどのお世話を面倒と思わず、楽しめたらいいですね」

【選ぶ】

[STEP1]飾る場所をイメージする。

「食卓なら、向かい合う人同士の会話の妨げにならないよう背の低い花を。いくつかの器に分けて生け、トレーなどにまとめて飾るのもおすすめ」(増田さん)。背の高いものは壁前、大きく広がる枝ものはコーナーに置くと収まりがいい。

●ダイニングテーブル

顔や会話を遮らない低いセッティングがベスト。

●壁の前

絵画のように高さを生かして。

●コーナー

枝の広がりやボリュームを楽しむ。

[STEP2]主役の花を選ぶ。

生花店に行って、「かわいい!」と目についた好きな花を選び、その花を中心に添えていく。「大輪やスプレー咲き、ユリ咲きのものなどボリュームのあるお花が主役向き。これからの季節は、バラやアジサイ、シャクヤク、カラーなど」

●バラ

出回り時期/周年
花もち/1週間

秋咲きや四季咲きのものも含め、たくさんの品種が。特に5〜6月には色とりどりのバラが生花店に並ぶ。枝の花なので水が下がりやすく、生ける前の水揚げが大切。

●ライラック

出回り時期/4〜6月
花もち/5〜7日

ヨーロッパ原産の落葉樹。紫、ピンク、白などの小花が穂状に咲き、ボリューム感がありながらも可憐な印象の花。香りも魅力。水揚げ、水の量はたっぷりと。

●アジサイ

出回り時期/4~8月
花もち/5~7日

言わずと知れた梅雨時季に咲く花。外国産の大きな花やピラミッドアジサイなど品種も豊富。生けるコツはとにかく水をたっぷり吸わせること。焼き揚げも効果的。

[STEP3]脇役の花を選ぶ。

主役を決めたら、それに添える花、グリーンや実ものも一緒に選ぶ。「脇役といっても、花の形状やボリューム感によってニュアンスのある花生けが完成するので効果は絶大。組み合わせ次第で、花生けのバリエーションが広がります」

●アスチルベ

出回り時期/周年
花もち/5〜7日

毎年花を咲かせる多年草で、庭や鉢植えでも育てやすい花。切り花としては、水があがりにくいので、水切りをして生ける。もしくは生ける前に湯揚げをしても。

●レースフラワー

出回り時期/周年
花もち/5〜7日

初夏の花だが、生花店では通年見かける。白やピンク、ブルーの小花がレースのように咲き広がり、軽やかにボリュームを出せる。水が多すぎると茎が傷みやすい。

●マトリカリア

出回り時期/周年
花もち/7〜10日

小菊のような花が枝分かれして咲くスプレー咲きなので、1本でたっぷり花を楽しめる。生ける前の水揚げと下葉の処理をしっかりすると、格段に花もちがよくなる。

今回選んだ花

〈 主役 〉ダリア

出回り時期/周年
花もち/3〜5日

夏の部屋を彩ってくれる大輪の花。水揚げがあまりよくないが、水が多すぎると茎が傷むので、少なめの水で毎日替えることが大切。茎先や傷んだ花弁はこまめにカット。

〈 脇役 〉ビバーナムスノーボール

出回り時期/周年
花もち/3〜7日

咲き始めのものは黄緑色で、咲き進むにつれて白に。ボール状の形が愛らしく、いろいろな花に合わせやすい。枝先を斜めに切り水をよく吸わせる。

〈 グリーン・実もの 〉ビバーナム ティナス

出回り時期/4〜8月
花もち/5〜7日

ガマズミの一種で、葉は常緑。春に花が咲いて、夏〜秋に実をつける。ブルーベリーのような青くつややかな実が美しく、花に添えると大人のアレンジに。

【準備】

●買ってきたらまずは水切り。

「買ってきた花は、基本的に疲れた状態。そのまま花器に生けるのではなく、まず水切りをして、花が元気になってから生けましょう」。ボウルなどに水を張り、茎先を水に浸けた状態で水中で1cmほどカットする。

●1時間ほど深水に浸けて休ませる。

水切り後、たっぷりの水を張った深さのある器やバケツに入れて、1時間ほど休ませる。「花がシャキッと元気になるのがわかるはず。これをするとしないとでは、花もちが違います」。球根の花などは、この工程は不要。

\枝先を割って水を吸わせる。/

水を吸いあげにくい枝ものは、枝先を十字に割って水を吸う表面積を大きくしてあげるとよい。鉛筆のように斜めに削る方法でもOK。

\アジサイの焼き揚げに挑戦!/

アジサイはさらに水揚げをよくするために、茎先4〜5㎝を直火で焼いて。まだらに黒くなってきたら、先端を1cmほど切ってから深水に浸けて休ませる。

【飾る】

●花器は万能なものをいくつか用意。

「ガラスや白い陶器の中サイズ(口径10cm、高さ15〜20cm前後が目安)の器があると便利」。口が広いものはアジサイ、ダリアなどボリュームのある花に。背が高いものは、バラやライラックなどの茎の長さを生かした花生けに。

●下葉を取り、切り分ける。

「葉が水に浸かると、水が濁りやすくなるので、水に浸かる下のほうの葉や小枝はあらかじめ切っておきましょう」。また、枝分かれしているものは、長さが揃うように2つに切り分けておくと生けやすい。

●花器に対して、1.5〜2倍の長さにカットする。

バランスよく生けるために、覚えておきたい長さの法則。「器に対して、花の長さが1.5〜2倍くらいを目安にするといいですよ。複数本なら長さをぴったりそろえず、高低差ができるようにすると素敵です」

\同じ種類の花は奇数本が生けやすい。/

主役の花を何本買うかも悩むところ。「奇数本にすると奥行きができて、うまく生けやすいです。2本よりは3本がおすすめ」

\水は器の半分〜7分目が基本。直射日光と冷房の風が当たる場所は避けよう。/

【手入れ】

●水替えは必ず毎日!茎先を少しずつ水切りする。

「花を長もちさせるのに、いちばん大切なのは水替え。ぜひ毎日替えてください」。その際に、茎先を1cmほど水切りすると、また水をよく吸うようになる。器に対して花が短くなってきたら、小さな器に生け替えを。

●傷んできた葉や花びらをカット。

先に咲き始めた外側の花から茶色く傷んでいくので、ハサミで傷んだ部分だけをカットする。「手でちぎると、全部の花弁がバラバラッと落ちてしまうこともあるので、ハサミを使います」。黒ずんだ葉も同様に。

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