くらし

高橋幸宏が手掛けた最後の作品『See You Again』(METAFIVE)、別れの歌から聞こえる悟りにも似た清々しさ。【高橋芳朗の暮らしのプレイリスト】

別れの歌から聞こえる悟りにも似た清々しさ。

イエロー・マジック・オーケストラの活動で知られるドラマー/ボーカリストの高橋幸宏が1月11日、誤嚥性肺炎で亡くなりました。70歳でした。

サディスティック・ミカ・バンド、サディスティックス、YMO、ビートニクス、スケッチ・ショウ、pupaなど、キャリアを通してさまざまなバンドに籍を置いて精力的な活動を展開してきた高橋。

そんな彼の最後のバンド作品が、小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井と結成したMETAFIVEのアルバム『METAATEM』です。

『METAATEM』のレコーディングは2019年に開始。途中高橋の脳腫瘍手術により中断を余儀なくされたものの、彼の退院後に制作を再開して2021年にようやく完成へと漕ぎ着けました。

その『METAATEM』の最後を飾る曲は、高橋が歌うことを想定して彼の入院中に小山田が作曲した「See You Again」。歌詞は退院後の高橋が今井と共に書き上げました。

「I’ll see you again/風も去った頃に/On a new terrain/波の果てまで/I’ll see you again/光が差す時/Still around the bend/また会えるまで/街をくぐり抜けて/運命を飛び越えて/蓮の花に乗って/またね またね その流れで」

別れの歌でありながら、悟りにも似た清々しさがある。高橋は、「See You Again」というフレーズにどんな思いを託したのでしょう。本当に、どこまでも粋な方でした。

高橋幸宏が手掛ける最後の作品となったMETAFIVE『METAATEM』。「See You Again」ほか、「Full Metallisch」「The Para medics」など全12曲収録。

高橋芳朗 さん (たかはし・よしあき)

音楽ジャーナリスト

著書に『ディス・イズ・アメリカ「トランプ時代」のポップミュージック』(スモール出版)など。

『クロワッサン』1089号より

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