くらし

鴨川、御所、庭、名建築…。眺めも居心地もいい、お茶処。

草木が芽吹くこの季節、京都らしいロケーションに浸りながら一服。
ここでは決して特別ではない贅沢な時間を、自由気ままに楽しんで。
  • 撮影・津久井珠美 構成&文・中岡愛子

| 北大路 |WIFE&HUSBAND(ワイフアンドハズバンド)

【京都旅のはじまりは、鴨川ピクニックから。】

ライフスタイルコーディネーター、パフューマー・山藤陽子さん

「ピクニック バスケット」1,200円/1人(90分)は、コーヒー入り魔法瓶、ラスク、マグがセットに。丸イスやベンチなどのレンタル150円〜。

「ここのコーヒーとハニーチーズトーストで京都の旅をスタートします」と山藤陽子さん。過ごす場所も人間関係も「気持ちいいこと」を基準に軽やかに選び、大好きな京都を訪れるときは必ず、古い友人である店主の吉田恭一さんと、妻の幾未さんが路地裏で営む小さな自家焙煎コーヒー店を目指す。

ブレンドコーヒー DAUGHTER 620円、ハニー チーズトースト530円。

古道具に囲まれた空間の心地よさはもちろん、体験したいのは、「鴨川まで100歩」の立地を活かしたピクニックセットの貸し出しサービス。籐編みの魔法瓶に淹れた澄んだ味わいのコーヒーを手に、山藤さんも「京都の匂いを含めて本当に気持ちがいい」とリラックス。

やわらかな笑顔の吉田さん夫婦。

●京都市北区小山下内河原町106・6 
TEL.075・201・7324 
営業時間:10時〜17時 不定休

| 御所東 |冬夏(とうか) tearoom toka

【築100余年の邸宅にて、 庭を愛で日本茶に浸る。】

静謐な気配に包まれる、6席のみのカウンター。事前の予約が安心。

フードディレクターの奥村文絵さんが主宰するオーガニックの日本茶専門店。「土地や製法、生産者ごとに異なる、日本茶のテロワールを届けたい」と各地の無農薬栽培による希少な茶葉をセレクトし、季節ごとにラインナップが変わる。

京都御苑と鴨川の間、静かな路地に佇む。

1、2煎目は目の前でスタッフが、3煎目からは自分で淹れるという時間の流れごと愛おしい。併設のギャラリー『日日』で扱う茶器の手触りのよさも相まって、瞑想しながらお茶を飲んでいるような心地よさ。

「白土」3, 900円はお茶2種、お菓子2種付き。この日のお菓子はうぐいす餅とオーガニックカカオ。

●京都市上京区信富町298 
TEL.075・254・7533 
営業時間:11時〜18時(LO17時30分) 火・水曜休

| 御所 |近衞邸跡休憩所内 SASAYAIORI(ささやいおり)+京都御苑

【京都御苑内に誕生した、  “皇室ゆかり”のお茶処。】

ガラス張りの空間から、京都御所が目の前に。

本店は、1716年に創業し、かつては御所に菓子を納めていた老舗和菓子店『笹屋伊織』。

建物の手前は松、奥には桜の木も。

2022年5月にオープンしたこちらは、京都御苑内の北側、近衞邸跡休憩所内にあり、季節ごとに景色を変える木々の緑を楽しみながら、上生菓子からパフェまでさまざまな和スイーツを味わえる。

なかでもおすすめは、個性あふれる「福来(ふっくら)どらやき」。ふんわり仕上げた生地につぶあんや抹茶あんなどを挟み、片手で食べられる仕掛けも楽しい。

「福来どらやき」(右)。写真は白玉とアイス付き「宇治抹茶スペシャル」980円、選りすぐりの抹茶の風味と甘み豊かなお薄600円。

●京都市上京区京都御苑3 
TEL.075・256・7177
営業時間:10時〜16時30分(LO16時) 月曜休(祝日の場合翌日)

|清水五条|茶室/茶藝室 池半(いけはん)

【茶席のコースを鴨川の静かなほとりで。】

「茶席のコース」5,000円。1組1〜4名までの完全予約制(90分)。1 コースの菓子は2種。台湾の伝統的なスイーツ「湯圓(タンユェン)」を慧さんによる自家製で。

鴨川沿いの路地に佇む、凛とした一軒家。
隣で町家宿を営む亭主の小嶋万太郎さんと、台湾でお茶を学んだ慧さん夫婦に笑顔で迎えられ、一気に心和む。農家にも足を運んで仕入れる日本、台湾、中国の茶葉から3種を選び、まずは1階で夫婦が淹れてくれる2種を。

まずは1階でゆっくり。

空間じゅうに広がる甘やかな香りに包まれ小さな杯で熱々を少しずつ味わって、最後の1種は2階にて。

目線の先に鴨川が広がる2階席へ。

「ご自分で淹れて楽しんで」と促される頃には、すっかりお茶が身近になっている。

定番と季節のもの、10種ずつ用意された台湾茶と日本茶から3種を選ぶ。

●京都市下京区都市町143・11 
TEL.なし ※予約はメール(ikehan.kyoto@gmail.com)で 
営業時間:11時〜16時最終入店 水・木・金曜休

| 五条 |WaldenWoodsKyoto(ウォールデン・ウッズ・キョウト)

【和洋折衷の建物の中は、一面真っ白な異空間。】

サウナを彷彿させる個性的なデザイン。窓から目の前の公園が見える。春には桜が。

大正時代に建てられた木造建築をスタイリッシュに改装したこちらは、ドイツ製のヴィンテージの焙煎機が鎮座する1階でコーヒーを注文し、2階へ上がると床から天井まで真っ白な空間にあたたかなランプが並ぶ様子に心掴まれる。

中煎りのウォールデンブレンド500円、カヌレ300円。

「自由に腰掛けてお客さん同士の会話も楽しんで」と、毎日コーヒーを買いにくる近所の人も外国人ツーリストも等しく過ごせる街の止まり木的コーヒーショップ。

中に自家製プリンを忍ばせたソフトクリーム700円/テイクアウト500円。

●京都市下京区栄町508・1
TEL.075・344・9009 
営業時間:9時〜18時 休なし

| 宝ヶ池 |NIWAcafé(ニワカフェ)

【1966年に誕生した名建築でコーヒーを。】

定番人気のいちごのショートケーキ550円、コーヒー300円。

日本初の国際会議場として開館した「国立京都国際会館」内のラウンジに、2020年10月、京都の老舗『前田珈琲』が手がけるカフェがオープン。
毎月数日の〝Open Day〞を設け、モダニズム建築ファンをはじめ多くの人がここでの時間を過ごしに訪れる。

パブリックスペースのラウンジには、剣持勇氏がデザインした六角椅子。

建築家・大谷幸夫氏による近未来的な設計に、色の濃淡で苔の四季をイメージしたという絨毯がやわらかく映え、窓の向こうは日本庭園と宝ヶ池一帯ののどかな山間の景色。背筋が伸び、心が開く。

建築のテーマは「周辺の自然との調和」。天気がよい日はテラス席もおすすめ。

●京都市左京区岩倉大鷲町422 国立京都国際会館内 
TEL.075・705・2111 
営業時間:10時〜17時(LO16時30分)
※Open DayはHP(https://www.icckyoto.or.jp)で確認。

| 御所東 |CoffeeBaseNASHINOKI(コーヒーベースナシノキ)

【京都の名水で淹れる水出しコーヒーの贅沢。】

水出しコーヒー660円〜、老舗和菓子店『金谷正廣』によるオリジナルの栗まんじゅう350円。セット1,000円。

京都御苑の東側、梨木神社の境内に、2022年8月オープン。「参拝者の休憩処として、また境内に湧く京都三名水のひとつ〝染井の水〞を守るために」と、四条烏丸に本店を持つスペシャルティコーヒー専門店が手がける。

緑に佇む「旧春興殿」。

御所から移築され、茶室として使用されていた「旧春興殿」をリノベーションした空間では、名水で淹れる水出しコーヒーや老舗とコラボする季節のお茶菓子が楽しめるほか、一つの豆を異なる抽出法で楽しむコーヒーコースも。

歴史的建造物の暖簾をくぐれば、スタイリッシュな空間。ドリップコーヒーも美味。

●京都市上京区染殿町680 梨木神社境内 
TEL.075・600・9393 
営業時間:10時〜17時 水曜休

『クロワッサン』1089号より

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