亀岡、京田辺、南山城村で新発見!京都をもっと深く楽しむ、食と桜と温泉の小旅行へ。
市内とは違う素朴な景色と美味で、ほっとするひとときを。
撮影・青木和義、西岡 潔(寿宝寺) 構成&文・齋藤優子
[亀岡]京都の奥座敷、亀岡へ。湯の花温泉と食材の旅。
| 湯の花温泉 |すみや亀峰菴(きほうあん)
日帰り温泉も楽しめる、温泉郷でもっとも古い湯宿。
亀岡市の中心部から西へ約7キロの山あいにある湯の花温泉郷。戦国時代には傷ついた武将たちが刀傷を癒やしたとの伝説も残る〝湯の花〞と呼ばれる地に、1955年、最初に湯宿の看板を掲げたのがここ。
ジョン・レノンとオノ・ヨーコ夫妻や松田優作らが訪れたことで知られ、侘びた茅葺の門を抜けると一転、現代美術家・柳幸典氏とのコラボによって誕生した、ギャラリーのようなロビーが広がる名旅館だ。
日帰り利用もできる温泉は、無色透明なラジウム泉でやわらかな泉質。山あいの素朴な緑に囲まれて露天風呂に浸かっていると、市内から遥か遠くを訪れた気分になる。心が解けた後は、京都丹波のはしりもと=台所を再現したダイニング『旬膳 瑞禾(すいか)』で、〝京の台所〞と称される地元の亀岡食材を使った滋味深い和食を。
●亀岡市ひえ田野町湯の花温泉
TEL.0771・22・7722
1泊2食付1人2万8600円~、日帰り昼食プラン1人7,150円~。
JR京都駅からJR嵯峨野線快速で亀岡駅まで約20分。駅からタクシーで15分。送迎あり(要予約)。
https://www.sumiya.ne.jp/
|馬堀|牛肉Restaurant牛楽(ぎゅうらく)
深い霧がおいしさの秘密。亀岡牛専門のレストランへ。
深い朝霧が発生する亀岡盆地の気候風土が、しっとりと味わい深い肉質を可能にするという。
亀岡は牛肉の名産地で、市内で14カ月以上じっくり肥育された黒毛和種の亀岡牛は、柔らかな食感と脂のやさしい甘みが評判だ。
その亀岡牛を専門に扱ってきた精肉店が営むレストランゆえ、ステーキ、すき焼きからハンバーグまで亀岡牛尽くし。市内6戸の農家の飼育数は約1200頭。市外にはほぼ流通しないというから、足を運ぶ価値あり。
●亀岡市篠町馬堀駅前2・3・1 1F
TEL.0771・22・5654
営業時間:11時~15時30分LO、17時~19時30分LO 水曜休
JR京都駅からJR嵯峨野線で馬堀駅まで約25分、駅から徒歩1分。
|亀岡|道の駅ガレリアかめおか 物産市場アトリオ
京野菜から米、亀岡牛まで。〝京の台所″の名産品が揃う。
夏と冬、朝と夜の大きな気温差、盆地特有の深い霧、たくさんの川のきれいな水。
こうした自然環境の中で育つ京野菜や馬路大納言小豆、丹波栗などは味がよく、いまも〝京都の台所〞として、市内の多くのレストランが信頼を寄せる。
そうした亀岡の食材が手に入るのが、道の駅内にある物産広場だ。地元農家が栽培した野菜は、市場の半分を占めるほど。黒豆や小豆など、土産にできるお宝が潜んでいるので、ていねいに探してみたい。
●亀岡市余部町宝久保1・1
TEL.0771・24・8888
営業時間:9時~17時 第4木曜休
JR京都駅からJR亀岡駅まで快速で20分、南口からガレリアかめおかまで京阪京都交通バスで約7分。JR亀岡駅南口から徒歩約20分。
令和初の複合型フットボールスタジアムが亀岡に!
JR亀岡駅前に、2020年、京都サンガF.C.のホームとなる『サンガスタジアム by KYOCERA』が開業し、亀岡の新たな名所に。客席とピッチの高低差が少なく、選手に近い目線で観戦できるスタジアムは、ラグビーやアメフトもできる複合型。スポーツクライミングのジムやe-sportsエリアなども併設され、覗いてみたくなる最先端の施設だ。
[京田辺・井手・南山城村]京都府最南端、南山城へ。古寺と花見とお茶の旅。
【京田辺で古寺巡礼。】
|京田辺 |開運山寿宝寺(かいうんざん じゅほうじ)
千本の手を持つ観音様が目の前で見られる古寺。
飛鳥時代に創建され、度重なる木津川の氾濫で現在の場所に移ったという古い寺。ここに、実際に千本の手を持つ観音の三大傑作のひとつ、十一面千手千眼観音立像がある。
平安時代後期の作で、千本の手には、千の眼が描かれ、顔は昼夜で異なる表情を見せるという。
国の重要文化財でもあるこの像を、手の届く距離で見られるのがここならではで、観音堂の扉を開閉して、観音様が月明かりで穏やかに表情を変える様子も再現してくれる。
●京田辺市三山木塔ノ島20
TEL.0774・65・3422
拝観時間9時~17時 不定休
拝観は事前予約制で、予約は電話のみ受付。拝観料300円。京都駅から近鉄京都線の三山木駅まで急行利用で約30分、下車徒歩5分。
|京田辺|酬恩庵一休寺(しゅうおんあん いっきゅうじ)
静謐な空気に心が洗われる、一休さんゆかりの禅寺。
苔と楓の植え込みが続く、総門から登る長い石畳の参道が見事な禅寺だ。
仏事を行う方丈の前には、白砂で海を、サツキで海に浮かぶ島々を表した枯山水の庭が広がり、その生垣の向こうに庵の檜皮葺の屋根と、墓の瓦屋根が並んで見える。
ここは、アニメ『一休さん』のモデルになった一休禅師が再建し、住まいとなる虎丘庵を作って晩年を過ごし、今もここの墓に眠っているという縁の深い寺。
また、一休禅師が製法を確立し、大徳寺に伝えたとされる一休寺納豆は、代々の住職がその製法を受け継ぎ、境内の一角で手塩にかけて作っていて、土産にもできる。
●京田辺市薪里ノ内102
TEL.0774・62・0193
拝観時間9時~17時 無休 拝観料500円。
京都駅からは近鉄京都線急行利用で、新田辺まで約25分、新田辺駅から徒歩20分。新田辺駅からはバスもあり、一休寺下車徒歩4分。
【和歌に詠われた名所の桜。】
| 井手 |井手の玉川 桜並木
歌人に思いを馳せて、風流に花見を楽しむ。
奈良時代、左大臣の橘諸兄がこの地に別荘を建て、風流を楽しんだことから、多くの歌人が詩歌に詠んできた井手の玉川。
堤には、小野小町、紫式部から松尾芭蕉まで、いくつもの句歌碑が立つ。
その玉川の両岸に、1500メートルにわたって植えられているのが、約500本のソメイヨシノ。満開になると、川面を桜が重なるように覆い尽くし、風情のある景色を作る。桜が終わると、今度は古くから歌に詠まれた山吹が玉川堤を黄色に染める。
【京都府唯一の村、南山城村は日本茶の里。】
| 南山城村 |道の駅 お茶の京都 みなみやましろ村
茶畑に囲まれた道の駅で、春摘み抹茶で作る甘いもん。
南山城村は、京都府の東南端に位置する、府でたったひとつの村。宇治茶の生産を担う茶処で、道の駅もまた茶畑に囲まれた一画にある。
主役は、もちろん、南山城村にある10数軒の茶農家から直接届く茶葉と、春摘み抹茶〝おくみどり〞を惜しみなく使ったオリジナルのスイーツ。
また、滋賀、三重、奈良の3県に隣接している地域の特性を生かし、3県からの農産品や調味料、日本酒などが並ぶのも珍しく、わざわざ訪れたくなる充実度だ。
●相楽郡南山城村北大河原殿田102
TEL.0743・93・1392
営業時間:『のもん市場』『村民百貨店』9時~18時『村茶屋』9時30分~17時、『つちのうぶ』8時(土・日曜、祝日7時30分)~9時30分LO、11時~15時30分LO 6月第3水曜、12月第2水曜休 J
R京都駅からJR関西本線月ヶ瀬口駅まで約1時間30分、徒歩5分。
『クロワッサン』1089号より