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オリビア・ニュートンジョン最大のヒット曲「Physical」、過激な性表現の意義とは?【高橋芳朗の暮らしのプレイリスト】

放送禁止にもなった過激な性表現の意義。

2022年8月8日、歌手のオリビア・ニュートン=ジョンが乳がんで亡くなりました。73歳でした。

イギリス生まれオーストラリア育ちのオリビアは、「Have You Never Been Mellow」(1975年)、「You’re the One That I Want」(1978年)、「Xanadu」(1980年)など、数々のシングルをチャートに送り込みましたが、なかでも最大のヒットになったのが全米10週連続1位を記録した1981年の「Physical」です。

「Physical」は当時のエアロビクスブームに呼応したミュージックビデオの印象からエクササイズの曲と思われている節がありますが、実は女性から男性に性的関係を持ちかけるセクシャルな歌。その過激な内容は当初歌う予定だったティナ・ターナーが拒んだほどで、実際「Physical」は発売後まもなくして一部の国や地域で放送禁止の扱いを受けることになります。

清純派のイメージが強かったオリビアが「Physical」を歌うことにはリスクもありましたが、彼女の挑戦は商業的な成功以上に大きな意義があったと考えます。

恋愛やセックスにおいて「男性が主体/女性は客体」との構造が前提になっているなか、「Physical」は女性が主体的に性を楽しむことを訴えた画期的なヒット曲といえるでしょう。女性の性表現に革命をもたらすマドンナがデビューするのは奇しくも「Physical」大ヒットの翌年、1982年のことです。

1981年リリースのアルバム、オリビア・ニュートン=ジョン『Physical』。タイトル曲「Physical」収録。
1981年リリースのアルバム、オリビア・ニュートン=ジョン『Physical』。タイトル曲「Physical」収録。
  • 高橋芳朗 さん (たかはし・よしあき)

    音楽ジャーナリスト。

    著書に『ディス・イズ・アメリカ「トランプ時代」のポップミュージック』(スモール出版)など。

『クロワッサン』1078号より

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