エッセイストの平松洋子さんの暮らしに欠かせない愛用品。
撮影・青木和義 構成&文・中條裕子
長く使っているものは機能に無駄がなく、シンプルなものばかり。
平松洋子さんが普段の暮らしで愛用しているものには、共通点がある。
「機能に無駄がなく、着実に最短で目的を果たす、を基準に選んでいます」
朝食の際にパンを焼くトースターやご飯を炊く土鍋、料理後にフライパンの汚れを落とすたわし。台所仕事に使う道具は、形も限界までシンプルなものばかりが長く残ってきた。気に入ったら、同じ型を買い足すことも。たとえば、土鍋は娘の独立などを機に今までの3合から1合炊きへ。
「暮らし方は年齢とともに変わっていくので、台所道具はサイズダウンさせたり、その都度対応させていくと料理をするにも負担が少なくなります」
ラッセルホブスのクラシックトースター
強めの焼き加減にして、 ジャムを半分塗るのが トーストのお気に入り。
シンプルなトースターを探していた際にクラシックな形が気に入り、ポップアップ式のこちらを購入。「トーストの焼け具合や水分の抜け加減がちょうどいいんです。左下のつまみで火力がコントロールできるので、パンの厚さによって調節しています」。
長谷園(ながたにえん)のかまどさん 一合炊き
暮らし方に合わせて、1合炊きの土鍋に変えました。
「20年近く同じ土鍋の三合炊きを使っていたのですが、自分たちの食べる量も減ってきたので、一合炊きが出たのを知り、新たに買いました。少量でもふっくらとおいしく炊き上がるので満足しています」。二重のふたが圧力釜の機能を果たし、火加減も必要なし。
パラブーツのポリッシュグローブ
手を汚す心配もなく、外出前に靴をひと拭い。
靴の傍らに常に置いているのが、両面が毛足長めのムートン仕様となっているミトンタイプの靴磨き。「おまじないのようにさっとひと拭いして出かけています。細かく手入れをし、お気に入りの靴をより長く履けるようにというのもあって。手も汚れず、手軽です」。
KAWAGUCHIのきぬ針用スレイダー
小さな針穴に糸を通す、ひと苦労が嘘のよう。これなら楽らく!
「使ったことのない人はぜひ試してみて」と平松さんがすすめるのが、針穴の糸通し。「場所も取らず、機能的で良心的な価格。ボタンつけでイヤな思いをしていた針穴の糸通しも、一発でできてしまいます」。
亀の子束子(たわし)の棕櫚(しゅろ)たわし極〆(きわめ) No.1
台所に下げていても目の邪魔にならない、 コンパクトな大きさ。
「手にすっぽり入って握り込めるので、隅々まで届き汚れを落としやすい。乾くのも時間がかかりません」。棕櫚の繊維は細くコシがあり、しなやか。「中華鍋や鉄のフライパンのコゲや、鍋底や網などスポンジでは難しい汚れも落としやすい」。
「日本の道具として大切なたわし。棕櫚のものも、大きさも形もさまざま揃っています」。たわし各種やスポンジなどの雑貨がずらりと並ぶ。谷中店もあり。
●亀の子束子本店
東京都北区滝野川6・14・8
TEL.03・3916・3231
営業時間:9時〜12時、13時〜17時 土・日曜、祝日休
『クロワッサン』1080号より
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