豊かで冷たいフィヨルドの海から、ノルウェーの旬の恵みを受け取る。
取材協力・ノルウェー水産物審議会
「日本の皆さんは、ノルウェーを遠い国だと思っていませんか?」と、トロムソ大学経済学部研究者のビヨーン・E・オルセンさん。
「日本とノルウェーは国土面積がほぼ一緒。ともに南北に長い地形で、ユーラシア大陸を挟んで東西で向かい合うように位置しています。豊かな海洋資源に恵まれ、古くから漁業で発展してきたことも同じで、これはもう、きょうだい国と呼んでいいくらいです」
ノルウェーの水産物輸出量は世界第2位、そして日本は世界第2位の水産物輸入国。
「ですから、私たちふたつの国がもっと親しくなるのに、じゅうぶんな理由があるでしょう?」
【サーモン】澄んだ冷たい水でのびのび育って美味しくなる。
みんな大好き、サーモンの寿司。回転寿司のネタの人気調査で、11年連続第1位(2022年マルハニチロ調べ)。使われる生食用アトランティックサーモンの73%がノルウェー産だ。フレッシュなまま冷蔵で空輸されてやってくる。
始まりは35年前。日本の魚食文化に着目したノルウェー政府が、プロモーション「プロジェクト・ジャパン」を起動した。前出のオルセンさんもその一員で、主要ミッションは生食用サーモンの提案。鮭は加熱調理が一般的だった日本に、それまでサーモンの寿司はなかったのだ。
ノルウェーのサーモンが生食可能なのは、乾燥餌で養殖されるので、寄生虫がいないため。水質・水温などの養殖環境も国が厳格に定めている。「育つときにストレスのないサーモンは美味しくなります」とホフセット社のカリーナ・ローケンさん。
【サバ】いちばん美味しい旬のサバだけを獲る。それが持続可能(サステイナブル)の道。
じゅわっと脂たっぷりの焼きサバ、手軽で食べやすいサバ缶。日本でのサバ人気は衰え知らず。しかし日本沿岸では近年サバの不漁と小型化が続いていて、流通する塩サバはノルウェー産がじつに7割を占める。その人気の理由は、大きさと脂乗りのよさ。
「ノルウェーでは、サバは最も脂が乗り魚体が大きくなる9月から12月の間にだけ漁獲されます」と、ノルウェー水産物審議会のヤン・E・ヨンセンさん。
「北大西洋のサバは、資源保護のため国際的な管理計画により保全されていて、漁獲量の上限が各国に割り振られています。定められた漁獲枠の中でベストシーズンのみに狙いを定めて漁をすることで、サステイナブルを保ちながら、美味しいサバを提供できるのです」
『クロワッサン』1081号より
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