くらし

IKKOさんの美意識が詰まった、凛として華やかな自宅。「整理整頓は心のリズムが乱されないための作業」。

  • 撮影・宮崎貢司 文・嶌 陽子
“私にとっての整理整頓は心のリズムが こわされないこと。”

IKKOさんの家は、単にすっきりしていて美しいものが置かれているだけではない。家事をスムーズにこなすための機能性や合理性も備わっている。それが最もよくわかるのがキッチンだ。料理上手なIKKOさんが愛用する鍋や道具が、出し入れしやすいように整然と並べられている。

「引き出しの中など、見えないところは機能重視。100円ショップで買った箱やラックも使っています」

引き出しや棚は、開ければ全てのものが一目瞭然。布巾も畳み方を揃えて並べると見た目がきれいなだけでなく、取り出しやすい。そんな工夫の積み重ねが、日々の家事を楽にしてくれる。

「無駄を省いて楽に暮らしたいというのは、年を重ねるほどに思っていること。だから機能的に配置することも私にとっては大事なんです」

経験を重ねる中で編み出してきた知恵が、至るところに息づいている

手をかければかけるほど、家は自分に応えてくれる。

これまでに10回以上、引っ越しを経験。身をもって感じているのは、家は愛情を込めれば込めるほど、自分を優しく守ってくれるということだ。

「逆に言えば、愛情やエネルギーを注がなければそっぽを向かれてしまいますよね。家の中が乱れていると、運も落ちていく気がします。だから私は、物事がうまくいかなくなったら家の整理整頓や掃除をすればよいと思っているの。そうやって気の流れを変えることが大事だと信じているんです」

どの家もその時々の自分の美意識を反映させながら整えてきた。年を重ねた今、住まいを整えることの大切さをますます感じているという。

「これから先、さまざまな別れやつらいことを経験するだろうけれど、それらに引きずられてネガティブにならないようにしないと。そのためにも家を整えていきたいと思います。そうすれば空間が浄化され、嫌なものを跳ね返すことができると思うんです」

凛としていて、華やかさもある家は、まるでIKKOさんそのもの。住まいを整えることは、きっと前向きに生きるための秘訣なのだ。

ここで一句。

|キッチンは使いやすく、機能的に。|

ほとんどものが出ていないが、唐辛子は魔除けのためにカウンター上に(右上写真)。引き出し内は箱や突っ張り棒などを駆使して使いやすく(右下写真)。常備菜用に軽くて中が見やすい保存容器をストック(左写真)。

|来客用の器は戸棚に美しく並べて。|

キッチンカウンター下、リビングに面した戸棚に整然と並んでいるのは来客用の器。九谷焼や古伊万里など、華やかなものも揃っている。「普段使いの器は少しで充分。別の場所にある取り出しやすい戸棚にしまっています」

|汚れはためず、その都度きれいに。|

コンロ周りは使い終わってまだ温かいうちに水拭きした後、仕上げにマイクロファイバークロスで拭き上げるのが習慣。「そのほうが汚れが落ちやすいんです。ほかにも汚れが気になった場所はその都度拭くようにしています」

IKKO

IKKO さん (イッコー)

1962年、福岡県生まれ。美にまつわる様々なジャンルで幅広く活躍し、プラチナエイジ賞など受賞歴も多数。著書に『1ミリの優しさ』(大和書房)など。

『クロワッサン』1075号より

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