くらし

IKKOさんの美意識が詰まった、凛として華やかな自宅。「整理整頓は心のリズムが乱されないための作業」。

  • 撮影・宮崎貢司 文・嶌 陽子
“心が浄化されると運が開けます。”

「私にとって整理整頓は、心のリズムが乱されないための作業。家の中が整っていたら、ものを探す手間や掃除をする手間が減って、時間配分がうまくできるようになる。何事もトントントンってスムーズにいくと、自分の使いたいところにエネルギーも使えるのよ」

そう話すIKKOさん。家を整えるために日頃から意識していることがいくつかあるという。その一つ目が「ものを増やしすぎないこと」だ。

「日用品も食料も、ストックを持ちすぎないように気をつけています。ものをため込まずに循環させるほうが、家が生き生きすると思うんです。
いただきものの包装紙なんかもすぐに処分するし、紙袋も3枚しか置いていません。紙袋っていつか使うと思って取っておきがちでしょう。でも実際のところ1カ月にどれくらい使うのか、一度調べてみたら、私の場合は3枚もあれば充分だなって思ったの」

余計なものが少ないシンプルな暮らしは、気持ちの余裕も生み出す。そんな考えに至るまでには、以前暮らした家での苦い経験もあったようだ。

「50代の頃に暮らした一軒家には、6畳ほどのストックルームがあったんですが、そこにどんどんものがたまっていったの。量が増えると何がどれくらいあるかも把握できなくなるから、同じものをまた買ってきてしまうのよね。気づいたらすごい量になっていて、不要なものを処分するのが本当に大変だったんです。
その時から少しずつ、ストックを持ち過ぎないように努力してきました。今の家には去年の冬に引っ越したのだけれど、今までで一番すっきり暮らせていると思います」

家の中によい気を流すためには、「余白」を持つことが大切。

もうひとつ、IKKOさんが気をつけているのは「どの空間も見通しをよくしておくこと」。視界に入らない場所や床の上に直接ものを置かないようにと、いつも自分に言い聞かせている。

「見えにくいとお掃除しづらいから、埃がたまってしまうでしょう。しかも、一度置いたら次の瞬間から何を置いたか忘れてしまう。そういう場所には悪い気がたまっていく気がするんです。だからデッドスペースは作らない、と常に心がけています」

家の中によい気が流れていること、一つひとつのものがよい気を発していることは、IKKOさんにとって大切なこと。そのためには「余白」を持つことも心がけている。さまざまな棚を開けて見せてもらうと、全てのものがゆとりを持って収められていた。

「書の世界でも余白って大事なんです。余白がないと字が美しく見えない。それはものも同じだと思うの。せっかくきれいなものや好きなものを持っていても、ぎゅうぎゅう詰めにしてしまったら、もの自身が『苦しい』って言うような気がして。よい気を発することができないと思うんですよね」

棚や引き出しの中など、見えないところにもIKKOさんの美学は貫かれているのだ。

“デッドスペースを作らない。見えにくい場所にものを置かないことよ。”

|余白を作ることで、 家によい気が流れる。|

常にゆとりを持ってものを配置するように意識。空の引き出しもあえてそのままに。「なんでもかんでも入れていると、悪い気がたまってしまう。〝とりあえず何かを入れる〟ことがないように気をつけています」

|水まわりも「見せる空間」に。|

左・「隠そうとするから汚くなると思って」、トイレはなるべくドアを開けたままに。あえて見せる空間にすることで美しさを保っている。右・毎日使う化粧品はひとまとめにしてトレーに。見た目もすっきりして、掃除も楽。

|床はいつもすっきり、 楽に掃除しやすく。|

約280平米もある自宅だが、家具以外は床に置かれているものはない。そのため、いつでも楽に掃除機やモップがかけられる。「見えづらい場所にものを置かないこと、部屋をいつも見通しよくすることも心がけています」

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