くらし

介護費用のお金の問題、どうすればいい?【介護の悩み相談室】

「離れていてもちゃんと介護できる?」「罪悪感を感じてしまう」……
ジャーナリストの太田差惠子さんが、別居介護にまつわる疑問と悩みに答えてくれました。
  • イラスト・古谷充子 文・天田 泉

Q.介護費用は子が負担する? 経済的に不安を覚えます。

介護にかかる費用も子どもが負担するべきだ、と思い込んでいる人はとても多いです。しかし、そもそも介護は親の自立を支援するためのもの。親自身が費用を負担できるのなら、そうするのが当然だと思います。

子どもが経済的に支援する場合も、まずは親の介護に使えるお金を把握しておくことは欠かせないでしょう。

Q.親にお金のことを聞きづらいのですが……。

親のお金がいくら使えるのか知らないままでは、介護もできません。可能なら、親が元気なうちに介護に使えるお金についてきちんと確認しておきましょう。

いきなり「いくらあるの?」と聞くと親も戸惑うので、「入院や介護が必要になったときに、どのお金を使ったらいい?」などと具体的にたずねます。すると、親も「この通帳のお金を使って」と答えてくれます。

そこでさらに「通帳だけではお金は引き出せないよ。どうすればいい?」と聞き、できればキャッシュカードの保管場所と暗証番号がわかると、いざというときにスムーズですが「今、言いたくなかったら、ここに書いておいて」と頼む方法もあります。

それでも親が抵抗を示す場合は「お金が誰にも発見されないと国に没収されてしまうよ」と伝えておしえてもらったというケースも。また、確定申告を手伝うという口実で把握する人も多いです。

【親が元気なうちに確認しておきたいお金のこと】
・貯蓄金額(金融機関名、キャッシュカードの有無)
・月々の年金額
・株
・不動産
・ローンや負債額
・民間医療保険、生命保険(保険証書の保管場所)

Q.交通費がかさんで、正直、苦しいです。

とくに遠距離介護となると、交通費の問題が出てきます。女性の場合は親に出してもらっているケースが多いですね。一方、男性は親からもらえないという人が目立ちます。

ただ、介護期間も5年、10年と長期になると交通費もかさんでしまいます。親が出すと言ってくれるのなら、素直にもらっておいたほうが経済的にラクになります。

また、交通費を安く押さえるために長距離バスなどを使う人もいますが、移動で疲れて親に当たってしまったり、体調を崩してしまうことも。体力的につらいときには、飛行機や新幹線を使うことをおすすめします。航空会社には早期割引や介護割引などもあるので、うまく利用しましょう。

【介護割引運賃設定がある航空会社】
・日本航空「介護帰省割引」
・全日空「介護割引」
・スターフライヤー「介護割引運賃」
・ソラシドエア「介護特別割引」

太田差惠子

太田差惠子 さん (おおた・さえこ)

介護・暮らしジャーナリスト

1993年頃より老親介護の現場を取材。『遠距離介護で自滅しない選択』(日本経済新聞出版)など著書多数。

『クロワッサン特別編集 介護の「困った」が消える本。』(2021年9月30日発売)

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