〈あらすじ〉
町内の住民たちが、町内会長に呼ばれ、集まった。なんでも、ある地主が14階建てのマンションを建てることになったという。
「そんなものができたらわが町内に日が当たらなくなってしまう。どうしたらいいか、名案はないだろうか」と住民たちに問いかけるも、「私は夜勤ですから、眩しくなくてありがたい」「太陽がマンションの向こうを通るから日が当たらなくなるんで、太陽に真上にきてもらったらどうでしょう」「向こうが14階建てなら、こっちは34階建てにすればいい」といった具合で埒があかない。そこで、魚屋が町内会を代表して地主のところへ交渉に行くことに。
地主を訪ねると、いきなり「お宅のようないい魚屋さんがご近所にあってうちは幸せ。家内もお宅の魚は日本一で世界一と言ってます」などと持ち上げられ、まんざらでもない気分に。マンションの件を持ち出すと、すでにたくさんの申し込みがあって、もう半分以上埋まっているという。
「お宅のお店は忙しくなりますよ」「え? そうなんですか?」「そりゃ200人くらい入るんですから。ご近所に魚屋さんはお宅しかないでしょう? 私に感謝してくださいよ」「ありがとうございます」と話をすり替えられた挙句、そうなると今の店では手狭だから店を広げて、住まいはマンションに移すよう提案される。
町内会長のところへ報告に行き、「交渉はどうなりました?」「ええ、マンションに入ることになりました」