くらし

地震が来たらどうする? 災害時にいち早く危険を避けるため、知っておきたい防災の最新常識。

その時、に備えるのは、備蓄品ばかりではありません。その時になったらどう動くか? 普段からの行動のイメージが鍵になります。
  • 撮影・黒川ひろみ イラストレーション・山本由実 文・一澤ひらり

大地震、台風、洪水、ゲリラ豪雨、土石流……と、穏やかな日々の暮らしを突然破壊する、さまざまな災害の危機にさらされている今の日本。だからこそ、防災に関する行動は日常生活の延長線上にあると考えることが重要、と話すのはNPO法人「ママプラグ」理事の冨川万美さん。

「災害に備えるというと、乾パンなどの非常食を用意するとか、懐中電灯を持ち出し袋に入れておくとか、非日常の事態を思い描きがちです。それはそれで誤りではありませんが、災害は毎日の生活の、ほんの一歩先で起きるもの。普段の生活スタイルでできることを、今一度考えてみることは大切です」

そのための〝心得〟にはどんなものがあるか。さっそく見ていこう。

1.緊急地震速報が鳴ったら、どう動くべき?

震度5弱以上の地震が予測された時、テレビ・ラジオや携帯電話などを通じて気象庁から発表されるのが緊急地震速報。

「まず普段から家の中に安全な場所を確保しておくことが大切です。警報音が鳴ったら、そこに速やかに移動する。そのクセをつけておくことが一番のポイントです」

たとえば寝室、廊下、玄関など落下物の危険が少ない場所を安全ゾーンとして、すぐ逃げ込めるように通路には何も置かない。

「危険物だらけのキッチンにいたら、即刻その場を離れてください。トイレや浴室は閉じ込めの危険がありますから、廊下に出ましょう。就寝中は倒れてくる家具などの心配がなければ、布団がクッション代わりになります。そのまま頭からくるまって身を守ってください」

2.大きい地震がドンときた。 火を使っていたらどうする?

緊急地震速報でも間に合わないのが直下型地震。警報が鳴る前にドンと突き上げる縦揺れがくるので、キッチンで料理中だったりするとパニックになりやすい。

「揺れがきたら最初に火を消す、というのは過去の常識です。今はガスの火は大きな揺れで自動的に消えますから、キッチンから逃げ出すことが最優先です」

キッチンは冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器など、激震に襲われたら凶器に変わる家電製品や、包丁、キッチンバサミなどの刃物、鉄のフライパンなど、危険物がいっぱい。まずは逃げることが第一だ。

「揺れが収まってから火の元を確認すれば大丈夫。ただし床に割れたグラスや食器類などが飛散しているかもしれないので、スリッパなどを履いてケガをしないように」

3.外にいて急に揺れたら、 こんな対処を。

「街中を歩いている時に地震の大きな揺れを感じたら、最初にするべきは頭上の安全確認です」

上から看板が落ちてきたり、ビルの外壁がはがれ落ちてきたり、震度6〜7になるとビルの窓ガラスが割れて頭上に降り注ぐことも。ビルが林立する大都会の震災発生時の危険性は非常に高い。

「ショーウインドーやブロック塀など損壊の危険性のあるものからはすぐに離れること。手に持っているハンドバッグや買い物袋などで頭を守りながら、広場、公園、駐車場……、少しでも広い空間のある場所へ逃げましょう。できれば車道に出たいところですが、走っている車のドライバーも緊急事態に慌てています。くれぐれも左右の安全確認を怠りなく」

逃げる余裕がない時は、耐震性の高そうなビルの中に逃げこもう。

4.警戒レベルや警報の意味や違いを知っておこう。

警戒レベルとは災害時の避難行動の目安で5段階あり、避難が必要になると各自治体が発表する。

「緊急性が高まるのはレベル3の『高齢者等避難』からで、高齢者や体の不自由な人など移動に時間のかかる人が避難を始める段階。レベル4の『避難指示』になると、危険な場所からの全員避難が求められます。レベル5は『緊急安全確保』ですが、すでに大きな災害が発生している状況になります」

この警戒レベルが発令される根拠となるのが、気象庁や国土交通省が発表する気象情報。たとえば大雨警報ならレベル3、土砂災害警戒情報はレベル4など、気象状況に則して警戒レベルが出される。

5.防災速報などを得る方法にどんなものがある?

「スマホの防災アプリが役に立ちますが、『Yahoo!防災速報』は地点登録ができるので、自分の居住地の情報がいち早くわかります。ニュースサイトなら『NHKニュース・防災』。この2つは情報が早いです。あと東京なら『東京防災』など、地域の防災アプリがあるので、これらを使えば知りたい情報が手に入りやすいですね」

たとえば『東京防災』は災害時、通信環境の悪化によってアプリ自体が開かないこともあり得るので、給水地や避難所などがオフラインで見られるようになっている。

「ラジオは必要な情報が入ってくるので、スマホに『ラジコ』を入れておくといいと思います。ただ、アプリを開くとバッテリーを消費するので、必ずモバイルバッテリーを携帯していることが大切です」

SNSでの情報はデマも含まれるので、自治体、気象庁、内閣府などの公的組織の発信を見よう。

6.天気予報では「雨の強さ」と 「風の強さ」の単位を押さえる。

テレビの天気予報を見ていて今ひとつ実感が湧かないのが、予想される雨量と風速の数値。

「気象庁が定義していて天気予報で頻繁に使われる、『雨の強さ』と『風の強さ』を表す用語があります。これを知って、その強さの度合いを認識しておくことで防災がもっと身近になるはずです」

たとえば天気予報で「やや強い雨」と表現するのは、外にいると雨音で話し声がうまく聞き取れないくらいのザーザー降りのこと。それよりも強く降って、傘をさしても濡れるくらいの雨を「強い雨」、バケツをひっくり返したような雨と表現されるのが「激しい雨」。さらに激しく傘が役に立たなくなる「非常に激しい雨」、そして外出するのが危険な「猛烈な雨」と続く。

「風の強さに関しては風上に向かって歩きにくくなる『やや強い風』。転倒する人も現れ始める『強い風』、プレハブ小屋が倒壊する恐れもある『非常に強い風』、樹木が倒れるほどの『猛烈な風』に分かれます」

天気予報で言われる「やや強い雨や風」でさえ油断できないのだ。

〈雨の強さと降り方〉

1時間雨量:10~20mm未満
雨の強さ:やや強い雨、ザーザー降る
状況:地面からの跳ね返りで足元が濡れる。道路一面に水たまりができる。

1時間雨量:20~30mm未満
雨の強さ:強い雨、どしゃ降り
状況:傘をさしても濡れる。車のワイパーを速くしても、前が見えづらい。

1時間雨量:30~50mm未満
雨の強さ:激しい雨、バケツをひっくり返したような雨
状況:道路が川のようになる。車のブレーキがききにくくなる。

1時間雨量:50~80mm未満
雨の強さ:非常に激しい雨、ゴーゴーと降り続く
状況:傘はまったく役に立たない。水しぶきで、あたり一面が白くなる。車の運転は危険。

1時間雨量:80mm~
雨の強さ:猛烈な雨、恐怖感がある
状況:傘はまったく役に立たない。水しぶきで、あたり一面が白くなる。車の運転は危険。

〈風の強さと吹き方〉

平均風速:10~15m/s未満
風の強さ:やや強い風、一般道路の自動車並み
状況:風に向かって歩きにくい。樹木全体が揺れ始める。

平均風速:15~20m/s未満
風の強さ:強い風、一般道路から高速道路の自動車並み
状況:風に向かって歩けなくなり、転倒する危険も。看板や屋根瓦がはずれることも。

平均風速:20~30m/s未満
風の強さ:非常に強い風、高速道路の自動車から特急列車並み
状況:何かにつかまらないと立っていられない。車の運転も困難に。

平均風速:30m/s~
風の強さ:猛烈な風、特急列車並み
状況:屋外での行動は極めて危険。トラックが横転する。多くの樹木が倒れる。

気象庁ウェブサイトより抜粋

冨川万美

冨川万美 さん (とみかわ・まみ)

NPO法人「ママプラグ」 アクティブ防災事業代表

東日本大震災の支援活動を機に特定非営利活動法人MAMA-PLUG設立に携わり、理事を務める。監修書に『家族と自分の命をつなぐ最新常識 今どき防災バイブル』(主婦の友社)。

『クロワッサン』1052号より

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