【試して納得】料理上手たちが惚れ込む、炒め物のために生まれた鉄のフライパン。
撮影・多田寛 文・板倉ミキコ
出来るだけものは減らして暮らしていきたいけれど、調理器具はいいものが見つかったら手に入れたくなってしまいます。まして、料理上手たちが惚れ込む逸品、と聞いたら尚更です。
今回、新たに我が家の台所に仲間入りした炒め鍋。日々作る料理のレパートリーはダントツ炒めものが多い私にとって、機能も見た目も優秀なこの鍋は、なぜ今まで使っていなかったんだと思ったほどです。
横浜中華街の料理人にはお馴染みの中華鍋を、半世紀以上作り続けている「山田工業所」が、炒め物を作るために必要な条件を全部クリアする炒め鍋を作った、というのがこちら。
その一、横から見ると手元より奥の方がせり上がっていて、鍋に深さがあること。
このおかげで、フライ返しを使わなくとも炒め物をシャッシャッと返すことができるんです。まるで料理人になったかのような手際の良い鍋の振りが再現できます。
その二、職人の手作業による打ち出し製法で、ハンマーで約5000回も打ちながら成形していること。
打ち出すことで、底、側面、縁の厚さを微妙に変え、食材に熱が早く伝わるように仕上げています。
さらに何度も叩かれた面にはミクロレベルの凹凸ができるので、油のノリや馴染みが良くなり、食材がくっつきにくくなる、という利点も生まれます。
その三、ハンドルがチタン製なので丈夫で軽く、熱くなりにくいこと。だから鉄鍋の良さは十二分に活かしつつ、軽くて扱いやすいが叶ってしまうんです。しっかり予熱してから使えば、焦げ付くことはありません。
ふんわりオムレツ、お店レベル(ちょっと誇張していますが)のパラパラのチャーハン、玉ねぎを飴色に炒め切ってから作るカレー、などなど、炒め鍋という名称ながら、焼き付け、揚げ物、煮物など、なんでもござれ。
出色はシンプルなもやし炒め。今まで食べたことのないシャキシャキ感が味わえ、ニラもやし炒めなど、家計に優しいメニューが本当に美味しいことこの上ありません。
ちょっとだけ手間なのは、使い終わったら鍋に余熱があるうちにお湯を使って汚れを洗い流し、水分をしっかり拭き取ってからサビ防止に薄〜く油を引いて保管すること…。でも、慣れてしまえば一連の作業としてサッサとやりとおせます。
そんなわけで、最近の我が家の料理はほぼこの鍋で賄う感じ。我が家に来てくれてありがとう! と日々感謝しながら使っています。(ライターMikiko)