「西洋のハーブというと、私たちは料理の仕上げや彩りに一片あしらう感じですが、飾りじゃないんですよね」
と話すのは、ヨーロッパで長く暮らしていた料理研究家の上田淳子さん。現地の人がマルシェなどで買ってきた何種類ものハーブを、一度に使い切ってしまうのをよく見ていた。
そんなハーブ、特有の香りを料理に利かせたり、肉や魚の気になる臭みやクセを抑えるために欠かせない。意外にも作り置き料理をおいしく保存したいときにも役に立つ。
「特別なものと思わず、ねぎやシソのような薬味感覚でいろんな料理に、たっぷり投入して食べてほしいですね。ガパオにはバジル、ラムにはミントといった本場での使い方のほかにも、いつものポテトサラダに刻んだミントを混ぜたり、チキンカツの衣にローズマリーを混ぜたり、おなじみの料理に使うと爽やかな香りと味に仕上がって、ひと味違う楽しさがありますよ」
それぞれのハーブの特徴を知っておくと、迷わずに使える。たとえば、ローズマリーやバジルは火を加えると風味がよくなるが、ディルやミントは香りが飛んでしまうため生かそれに近い状態で食べるのがおすすめ。
余ってしまったハーブは上手に保存したい。ローズマリーは常温でもOKだが、しんなりしやすい葉もののハーブは湿らせて密閉し冷蔵庫へ。オイルか酢に漬け込めばハーブそのものも保存でき、さらに香りづけした調味料も活用できて、新しい世界が広がる。