バブルスさん、こんにちは。お2人目を望まれていたんですね。叶わないと思うほど苦しくなってしまいますね。ただ、バブルスさんはあまりに深く思い悩まれるがゆえに、やや本末転倒になってしまっているところもあるようにお見受けします。というのも、バブルスさんの抱えていらっしゃる罪悪感というのは、ご自分の思う望ましい環境を娘さんに提供してあげられなかったことへの罪悪感ですよね。そして望ましい環境を提供してあげたいと思うのは、娘さんにより幸せな人生を歩んでほしいからではないかと思います。にもかかわらず、一人しか産めないなら授からなくてもよかったなんて言ってしまうと、娘さんにとってはそちらのほうがより深刻な問題になってしまうと思います。娘さん自身は少なくとも今後、しばらくは与えられた環境で生きていくよりほかなく、もしかしたら誰かに言われない限り、一人っ子である自分を可哀想だと思わないかもしれません。にもかかわらず、バブルスさんが罪悪感を抱えていたり、自分が生きていることを手放しで喜んでもらえないとしたら、娘さんはそんな中で一体どうやって自分を受け入れ、幸せな人生を歩んでいけばいいのでしょうか。
そして実をいうと私は、一人っ子を可哀想だと思ったことがないので、そもそもどうしてバブルスさんがそんなにも一人っ子について罪悪感を持たれるのかも不思議なんです。日常的に兄弟との触れ合いで得られるものが得られないからでしょうか。ならば一人親家庭で育ったうちの子たちはお父さんとの触れ合いで得られるものを得られていないのでかわいそうでしょうか。祖父母と同居している子供が得られていることを得られない格家族世帯の子供はかわいそうでしょうか。ペットを飼っていない家の子供はかわいそうでしょうか。庭のない家で育つ子はかわいそうでしょうか。
子供が育つ上でより良い環境を与えてあげたい。親としてそんなふうに思われる気持ちはとてもよくわかります。だけど、それができないからといって死にたくなってしまったらやっぱりそれは本末転倒だと思うんです。
昔バラエティ番組でやっていました。サザエさんの磯野家と同じ構成の家族を日本中探したけれど、結局一つも見つからなかったそうです。多くの人が標準的な家族として思い描く磯野家は、現実には存在していない可能性が高いのです。そして実際に周りを見渡すと、一人親家庭も、格家族も、そして一人っ子も、もはやまったく珍しいものではありません。そう考えると、家族の形がこうでなければ不幸、と考えること自体が自分を幸せから遠ざける材料にしかならないと思うんです。
娘さんには兄弟がいないかもしれないけれど、その代わりご両親からの愛情も手間も一身に受けて育つことができます。ないことに意識を向ければ得られないことばかり目につくけれど、一方でないことによって、あることでは得られない日常が得られると思いませんか? もちろん、ときにはないものに憧れを持つことも必要でしょうが、それがどうしても得られないものであれば、今手元にあるものの価値を思い出し、自分がそれを大切にすることでどんなに幸せだったかを思い出すことも必要だと思います。そしてそんなふうに、得られる幸福を見つけながら生きていく親の姿を見せることが、娘さんの将来にとって、何より良いギフトになると思うんです。
後悔もあるでしょうが、今のバブルスさんが深く苦しまれているように、過去のバブルスさんだってきっと、そのつど深く悩み苦しみながら、今につながる決断を下してこられたのだと思います。周りのママさんたちを見て過去の自分を責めることばかりせず、どうか少しでもバブルスさんが今持っているもの、今いる場所に目を向けて、得難い環境へ自分を導いてくれた過去の自分を認めてあげられるといいなと思います。
……と、ここまで色々書いてきましたが、お手紙の中でもう一つだけ気になったのは、娘さんが産まれてからずっとしんどいと書いていらっしゃることです。もしかしたら出産後のホルモンバランスの乱れが、バブルスさんから冷静さを奪って、気持ちを普段より余計に落ち込ませているのかもしれません。もしあまりにもネガティブな思考が止まらず、またそれが産前のバブルスさんにはなかったものであったとしたら、一度病院に相談されてみるのもいいかもしれません。バブルスさんが、ご家族との日々を少しでも穏やかに過ごせるようになることを祈っています。
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