抗疲労成分イミダペプチドで重だるいをすっきり! 万能鶏むねスープ。
撮影・岩本慶三 文・一澤ひらり
鶏むね肉の抗疲労成分は水溶性。スープなら無駄なく栄養に。
女性総合専門外来の医師として日々、女性の心身の悩みと向き合っている赤澤純代さん。
「女性外来に来られる40代以降の女性で多いのは、カラダがだるい、眠れない、ボーッとするなど重だるさを訴える方たちですね。
更年期にさしかかって体調不良になったり、四六時中スマホを見ていて眼精疲労や頭痛がしたり。こうした重だるさを放置していると慢性的な疲労がたまって、万病の元になってしまいます」
自分がどのくらい疲れているか、それにすら気づかないほど鈍感になっているのが現代人。重だるさをすっきりさせれば日々楽しく暮らせるのに、と赤澤さんは指摘します。
「人間が活動するときにカラダは酸素を大量に使います。その過程で生まれるのが活性酸素という物質です。
激しい運動をしたり、オーバーワークや過度のストレスを受けると活性酸素が大量に発生して、強力な酸化作用で細胞を傷つけ、細胞の機能を低下させてしまいます。
この酸化ストレスが引き金となって疲労になり、カラダの老化も加速していくんですね」
疲労を緩和し、回復させる成分としていま注目されているのがイミダペプチドで、鶏むね肉やマグロ、カツオなどの回遊魚に多く含まれている栄養素です。
「なぜ渡り鳥は何千キロも飛び続けられるのか?
渡り鳥の翼の付け根の筋肉にイミダペプチドが多く含有されていて、この成分によって疲労困憊せずに長距離を飛び続けられることがわかったのです。
これは抗疲労成分や疲労回復を研究する日本の産官学連携プロジェクトによって発見されました。イミダペプチドは強い抗酸化力を持っているので細胞が傷つくのを防ぎ、疲労回復に効果があると報告されています」
抗疲労成分のイミダペプチド、鶏むね肉の含有量は断トツ。
イミダペプチドは1日200mgを目安に毎日摂取すると、疲労回復効果が期待できると言われています。
豚ロース肉、牛もも肉、カツオやマグロなどの高速で泳ぎ続ける回遊魚にも含まれていますが、含有量がずば抜けて多いのが鶏むね肉です。
■鶏むね肉には渡り鳥の持久力の元となる「イミダペプチド」が豊富に含まれている
(効果1)慢性的な疲労感を緩和するだけでなく回復力も高める。
(効果2)持久力もアップして疲れにくいカラダに。
(効果3)カラダを老化させる元となる活性酸素を除去する抗酸化作用がある。
(効果4)水溶性なので、スープとして食べると効率的。
「鶏むね肉は低脂肪、低カロリー、高たんぱくの食材ですから、これを使わない手はありません。調理においても、イミダペプチドは熱に強いので、焼いても揚げても変質しません。
ただし水溶性なので、茹でると成分が流出してしまいます。でもスープなら煮汁ごといただけて、溶け出したイミダペプチドも余すことなく摂取することができます」
鶏むね肉を茹でて、煮汁をスープにすれば、茹でた肉はスープの具材や、サラダチキンなどの料理に使うことができます。
しかも鶏むね肉のたんぱく質は、人間の体内では合成されない「必須アミノ酸」をバランスよく含んでいるのです。
「鶏むね肉はリーズナブルで入手しやすいのも大きな魅力。このスープを毎日の汁物のベースにすれば、疲労の緩和や回復効果はもちろん、疲れにくいカラダに変わっていきます。
帰宅が遅くなって料理を作るのが面倒なときでも、スープなら手軽に作れるし、重だるさを効率的にリセットできます。
何よりスープは芯から温まって血流が良くなり、冷え性改善にもなりますから、ぜひ毎日の習慣にしてほしいですね」
このひと手間に美味は宿る。応用自在、鶏むねスープの作り方。
【材料】4人分 できあがり約1,000ml
【作り方】
『Dr.クロワッサン 重だるいがすっきり!万能鶏むねスープ』(2019年2月5日発行)より。