くらし

【山田ルイ53世のお悩み相談】年下の夫に常にイライラしています。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回は些細なことで夫に不機嫌にさせられている女性からの相談です。
  • 撮影・中島慶子

<お悩み>

こんにちわ。
山田さんの丁寧な、共感できる回答をいつも楽しみにしています。
今夫婦関係で悩んでいます。
結婚して1年になります。夫は8歳年下の会社員です。私も働いているので共働きです。夫は優しく、家事も色々と手伝ってくれます。ただ私はこの夫に対していつもイライラしてしまいます。理由を思い返すと思い出せない位くだらない内容なのですが、自分でも嫌になるくらいいつも不機嫌です。たとえば冷暖房をつけているのにドアを開けっぱなしにする、洗面台に髪の毛や髭を大量に落としたままにする、足跡が騒音、などです。何回言っても直りません。そんなものなのでしょうか。内容がくだらないことなので、私は夫にあたることでストレス発散しているだけなのでは……と思うこともあります。同僚の異性と一緒にいた方がやすらげます。自分の感情をもっと上手にコントロールできるよう努力するべきなのか、それはどうしたらいいのか。
山田さんからアドバイスいただければ嬉しく思います。

(チディ/女性/病院勤務の30代 子供なし)

山田ルイ53世さんの回答

ご結婚されて1年。
旦那さんは、家事も手伝ってくれる優しい方とのことですが、「ドアを開けっ放し」、「髪の毛や髭を大量に落とす」、「足音が騒がしい」とその振る舞いは、野生のイノシシが家の中を闊歩しているのとあまり変わりません。
チディさんがつい苛々してしまうのも、当然でしょう。
いや、どこのご家庭にも転がっている夫婦喧嘩の種……我が家でも然りです。

「トイレのフタは毎回降ろせ!」、「ドレッシングのフタの締め方が緩い!」、「炊飯器のフタが開けっ放しだった!」……こうして並べてみると、“フタ関係”が目立ちますが、とにかくそういった筆者の愚行が妻の機嫌を損ねることは珍しくありませんし、彼女の方も、干し柿くらい洗濯ものを干しっ放しにしたり、
「カズノコの“塩抜き”でもしてるの?」
とツッコみたくなるほど、食器をシンクで長時間浸け置きしたりと、負けていません。

結果、揉めることもありますが、その際、筆者が心掛けていることが1つ。
“必ず此方から先に謝る”ということです。
別に、格好をつけるわけではありませんが、
「自分から折れても良いと思える相手だからこそ、一緒になったんじゃないのか……」
と頭を過るからです。

相談者は、「自分の感情をコントロールするべきか……」と仰いますが、本当にコントロールしたいのは、旦那さんの行動の方でしょう。
ただ、“『X―MEN』の一番賢そうな人”でお馴染み、プロフェッサーXでもない限り、人が人を思い通りに動かそうなど、土台無理な話。
親でも子でも、そして、夫婦でも同じこと……というのが大前提かと思うのです。
なまじ「出来る!」と思うから、「出来ない……」となったとき、余計に苛立ってしまうのではないでしょうか。

とは言え、毎朝、毛だらけの洗面台から一日がスタートするのもしんどい。
一つ気になるのは、“いつも不機嫌”、“ストレス発散”といった記述や、
「何回言っても直らない!」
という物言いから漂う、やや上から目線の雰囲気。
相談者の方が8歳年上ということもあり、旦那さんに対して(無意識でしょうが)説教臭くなったりしていませんか。
見当違いなら申し訳ないのですが、もし身に覚えがあるようなら、ここはひとつ穏やかに、
「本当に嫌なので、努力して欲しい」
と“お願い”してみるのはいかがでしょう。
相談者としては不本意かもしれませんが、優しい旦那様のこと……きっと応えてくれると思います。

山田ルイ53世

山田ルイ53世

お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当

本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)、近著に『パパが貴族』(双葉社)。
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