コロナ禍の家計のピンチを乗り越えるには?【深田晶恵さん×駒村多恵さん対談】
そんな今こそ、お金について見つめ直すいい機会です。
ピンチを乗り切り、はっきりとは見通すことのできない未来に備えるための考え方を身につけましょう。
どんな時代になっても、暮らしを楽しみ、お金と上手に付き合える人こそ最強です。
撮影・青木和義 文・黒澤 彩 イラストレーション・矢部太郎
がまんする節約はストレスに。楽しみにお金を使うことも大切。
深田 コロナだったからこそできたこと、よかったこともありますよね。
駒村 本当にそうです。私は母と過ごす時間が増えました。今まで仕事に行っているあいだはデイサービスに預けることが多かったので、思いがけず親孝行する時間ができたのかなと。
深田 私は家の片づけをして、買いすぎは禁物と改めて思いました。食品をストックしすぎるのも注意しようと。そういう気づきも節約につながります。
駒村 何が自分に必要で、何が無駄かと考えることができたのかも。スーパーにもメモを持参してパパッと買い物するようにしていたので、無駄なものを買うことがなくなりました。
深田 それと同じことを、家計管理でもできるんですよ。「この支出は本当に必要?」と考えてみる。年間支出を書き出してみるのはその第一歩です。でも、がまんする節約ってつらいですよね。
定番ですが、通信費と生命保険の見直しから手をつけるのがいいと思います。一度やってしまえば努力せずに月数千円から1万円以上の節約効果が得られますよ。食費や公共料金の節約に取り組むのは、そのあとで充分。
駒村 コロナが心配で、逆に医療保険に入ろうとする人も増えたのでは?
深田 新たな医療保険に入る必要はないです。コロナは指定感染症なので、入院しても医療費の自己負担はありません。
駒村 そうか、それなら保険を見直して、その分を貯金したほうがよさそうですね。ほかに、節約するところってありますか?
深田 毎月貯金ができているなら、過度に節約を意識しなくてもいいのではないでしょうか。定額給付金が支給された時期、セミナーで「給付金は貯金すべきでしょうか?」という質問をよく受けました。
がまんして自粛していたのだから、給付金は自由に使えばいいというのが私のアドバイス。毎月の支出のなかでも、ストレス軽減につながるような楽しみのためのお金は節約しなくていいと思います。
駒村 よかった。好きなことをするためにはお金を使ってもいいんですね。実は今、K-POPのダンスにはまっていて、25年ぶりくらいにダンスのレッスンを受け始めました。月に数千円で楽しくストレス発散(笑)。
最後にお聞きしたいのが、コロナ関連のさまざまな給付金、助成金についてです。持続化給付金を申請するときにいろいろと調べたのですが、要件や必要書類を確認するだけで一苦労でした。
深田 給付、支援は多岐にわたり、期限もそれぞれ違いますからね。自分の目的で検索すると、怪しげなサイトに引っかかってしまう可能性もあるので要注意です。必要な情報にたどり着くには、政府のポータルサイトから入るといいですよ。
駒村 自分から情報を取りにいかないと、もらい損ねてしまうこともありそう。やっぱり行動しなければ! 私もほどほどに息抜きをしつつ、支出の見直しから始めようと思います。
「どんな変化にも対応できる、ピンチに強い家計づくりが目標です」深田さん
<家計のピンチを乗り越える5カ条>
【1】支出を書き出し、現実を把握する。
前ページの表を参考に、まずは手を動かそう。過去の支出を記録していない場合は、おおよその金額でもOK。今後のためにも金額を把握しておくことが大切。
【2】コロナ禍でプラスだった面も書き出す。
「衝動買いが減った」「夫婦の会話が増え、貯金の目標額を決められた」など、お金の面でも、それ以外でも、よかったことを探し、プラス面にも目を向けよう。
【3】まずは固定費の見直し(変動費の節約はその後)。
光熱費、食費といった変動費の節約は、苦労するわりに効果が少ない。格安スマホにする、不要な生命保険を解約するなど固定費の節約から始めるのが鉄則。
【4】公的な支援策をポータルサイトでチェック。
内閣官房のポータルサイト「新型コロナウイルス感染症対策」(https://corona.go.jp)がおすすめ。ここから必要な支援策に確実にたどり着ける。
【5】ストレス軽減のための支出は削らない。
なにかと我慢を強いられる状況はしばらく続くので、ストレスを溜めないように心がけたい。趣味や楽しみのための支出は健康維持費と捉え、節約しなくてOK。
『クロワッサン』1038号より