’21年の開運スポットはどこ?運気を上げるコツは?【小野十傳さん・辛酸なめ子さん対談】
撮影・黒川ひろみ 文・一澤ひらり イラストレーション・辛酸なめ子
寒川神社は日本唯一の八方除の神社。ご祈祷の祝詞に感動です。
小野十傳さんが最強の厄除け神社と称賛していた、神奈川県の寒川神社へ参拝することにした辛酸なめ子さん。最寄り駅から歩いていると前方に鎮守の森が広がり、鳥居が見えてきた。
「必ず鳥居をくぐり、境内に入ること。その前に自分の中の毒素を吐き出すこと。それが重要でしたよね」
深呼吸をしながら、静かに気持ちを整えていく辛酸さん。鳥居で一礼し、境内に足を踏み入れる。
「参道の真ん中は神様の通り道だから端を歩きますね。まだ午前中だし、人も少なくて清々しい。歩いているだけで浄化されていくようです」
と、澄んだ空気を吸い込む。手水舎に行くと、コロナ対策で柄杓が取り払われ、樋から水が流れ続けている。そこで手を洗い、お浄めをする辛酸さん。神門を通っていよいよ御本殿へ。
「全国唯一の八方除の神社だけあって、すごく立派な本殿ですね。霊験あらたかな気持ちになります」
賽銭箱に小銭を入れると、小さな鈴を転がしたような音が立つ。二礼二拍手をし、心を込めて祈り、再び一礼。
「響き渡るような柏手を打とうと思いましたが、いい音って難しいですね」
社務所を訪ねると、権禰宜(ごんねぎ)の小野俊之さんが祈祷の説明をしてくれた。
「この用紙には住所、氏名、生年月日だけを書いて、あとはこちらでご祈祷内容を聞き取っていくんです。一番多いのは『八方除』ですが、安産祈願なら出産予定日、合格祈願なら志望校や試験日、病気平癒なら病名や手術日など、具体的に神職が記していきます。それをそのまま神職が読み上げてご祈祷します。みなさん、驚かれますね」
辛酸さんは「八方除」をお願いすることに。10組ほど一緒に御本殿の中に通されると、太鼓が叩かれ、鈴が鳴らされて、神職が祈祷の祝詞(のりと)を奏上し始める。それぞれの住所や名前、祈祷内容が粛々と読み上げられていく。
「ここまでやってくださるとは思いませんでした。しかも渡された紙袋には自分の名前が入ったお札がありました。ほかにも御神酒(おみき)や清め土とかいろいろ入っていて、申し訳ないぐらい」
その後は、祈祷を受けた人しか入れないという神域、「神嶽山神苑」へ。美しい池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)日本庭園になっている。
「きれいな気が満ちていて爽やかで、気持ちよくて、神苑を歩いているだけで心が清められた気がします」
さて、寒川神社の中でも小野さんの言う「一番気の集まる所」はどこだろう? 賽銭箱の手前、10〜20mの地面にそれらしき印はないが、両横に御神木と渾天儀(こんてんぎ)があるではないか。2つを結ぶ線上に辛酸さんが立つと、図らずもそのタイミングで御本殿前から一瞬人の姿が途絶えた。迷わず片足立ちで、両手を頭上に掲げ気を集める。
「頭頂部から背中を通じて良い気が入ってきたのを感じたんです。ちょうど社殿の真上に太陽が上がっていて、神神しかったですね。ここに参拝できたご縁を大切にしたいと思います」