くらし
更新:

【紫原明子のお悩み相談】結婚を日々後悔しています。

『家族無計画』や『りこんのこども』などの著書があるエッセイストの紫原明子さんが、読者のお悩みに答える連載。今回は結婚をする前に仲良くしていた男性のことが忘れられず、後悔の日々を送る女性の相談です。

<お悩み>

こんにちは。私は既婚の30代会社員です。 旦那さんとは5年ほどオンオフを繰り返し、1年半ほど前に結婚しました。しかし、これでよかったのかを今でも後悔をしてしまう日々で、何か糸口を見つけたくお便りします。

結婚は自分の意思でするものですが、私は自分が本当に納得しないまま悩みつつ結婚してしまいました。昔から優柔不断で何かを決めることが苦手で、また親の干渉も多い中で育ってきました。まずそこに問題があります。また、後悔することの原因のひとつに一人の男性の存在が大きくあります。 今の旦那さんと付き合っていた時、ほぼ平行して私には旦那さんとは違う男性との付き合いがありました。付き合いとはいっても、彼氏・彼女の関係ではなく、時々お茶やご飯、どこかへ出かけたりするなどの関係でした。

ただ問題となるのは、相手は私に好意があり、私は彼氏がいることを隠してのことだったことです。彼氏が居るのに会っていたのは、会社の先輩であり話がとても合うこと、自分がその人の前だと他の誰の前よりも自分らしくいられ、居心地がいいと感じていたからです。 相手は付き合いたい意思表示をずっとしてくれました。しかし私はずっと答えを濁し続け、多少のブランクも含め、そんな都合のいい関係がおよそ5年も続きました。その間たった一度も肉体関係は持っていません。 そんな彼なら付き合えばよかったのですが、付き合うにはいくつかのハードルもありました。

一つは彼の外見(太っていて、顔つきもハンサムではないこと)、病気ではないが若いのに健康的な問題があったこと(腎臓が弱くて検査が必要)、彼の会社で聞く評判があまりよくなかったことなどです。 それ以外は自分にとっては居心地がよい存在でした。 しかし、私は結局、付き合うこともしないまま、平行して付き合っていた彼と結婚しました。 しかし、旦那さんと結婚した今は、もしその彼と結婚していれば出来たことやしたかったことを考えてしまう日々です。その方が幸せに思えてしまうし、自分も今の様にはならなかったのではと思ってしまうのです。

今多少のメンタル面の問題を抱えつつあります。以前のような明るさを失ってしまい、以前の私とは違う感じで苦しいです。結婚した自分に自信が持てないからか人とうまく関わることが出来ず、仕事のパフォーマンスも下がっていると感じています。 アドバイスをください。

(ももたろう/女性/30代会社員)

紫原明子さんの回答

ももたろうさんこんにちは。メンタルの調子も崩されているということで、それは大変です。なんとかお力になりたいと思うのですが、そのためにはまず、果たしてどこに本質的な問題があるのか、ということをよく考えてみる必要があると思いました。

結婚を後悔されていることの原因の一つに、恋人未満で終わった先輩の存在があるとのこと。とても素敵な関係だったんですねえ。ただ私は、先輩と結婚したほうが幸せだったのかもしれないと今、ももたろうさんがそんなにも思ってしまう理由を、もっと知りたいと思いました。もちろん、仰る通り先輩の存在がももたろうさんの中で想像以上に大きかったということなのかもしれません。でも、少し見方を変えてみたとき、ももたろうさんが現在抱えていらっしゃる何らかの問題が、過去に手放したはずの先輩の存在を、想像の世界の中で実際以上に美しいものに見せている、という可能性はないでしょうか。

なにせ恋愛や結婚というのは多くの場合、友達関係とはまた違った難しさを伴うものです。もしかしたら先輩との関係も、恋人同士にならなかったからこそ良好なまま維持できたのかもしれません。また自分に一方的に好意を伝えてくれる人というのは、少なくともその関係において自分が優位に立てる可能性が高い人です。あなたのことが好き!と言われ続けるのは最高に気分が良いものです。けれどももし、ももたろうさんも相手のことを好きだと打ち明けたとすれば、その瞬間からそれまでとは違う関係性が生まれていたかもしれません。そしてその先にあるのは、必ずしも素敵なことばかりではなかったかもしれません。

そんなことを考えるとももたろうさんはただ後悔されているというより、選ばなかった選択の先にあったかもしれない、なかったかもしれない不確かな未来を、どこか心の支えにされているようにも思える。そうでなければやっていけない状態に置かれているのかもしれない、とも思えるのです。

先輩の存在は一旦脇に置いておいて、今、旦那さんとの関係は良好でしょうか?

いただいたお手紙の中には、今の旦那さんとの関係に不満があるのかどうか、またあるとしたらそれはどういうところなのか、具体的なことは書かれていませんでした。ただ、“彼と結婚していれば出来たことやしたかったことを考えてしまう”とあるところから、少なくとも今の旦那さんとでは望めないようなことがあるんですね。ももたろうさんは、それをどうして今の旦那さんに期待されないのでしょうか。期待しても叶わないと思わざるを得ない理由があるのでしょうか。あるいは、旦那さんとの関係に限らず、ももたろうさんの頭を悩ませることに心当たりはないでしょうか。

私の隠れたマッチョな性分を曝け出すようでとても恥ずかしいのですが、自分の選択に後悔するかしないかというのは、私は基本的に決めの問題だと思っているのです。たとえば自分の過失で他人に怪我をさせてしまったとか、自分の行いが他者に悪影響を及ぼしてしまったようなときにはそうとも限らないのですが、少なくとも自分に関する自分の選択については、絶対に後悔しないぞ、と、もうずっと決めています。何しろ選び損ねたものを嘆いても過去に戻れないことは自明なので、後悔の道をどれだけ進んだ先にも出口はないのです。後悔を続ける限り、ずっと苦しいのです。では、後悔しそうになるときというのはどういうときかと考えてみると、今現在、目の前の状況に何かしらの問題があるときです。目の前に不幸や、不満や、退屈や、欲求不満があるとき、私たちは後悔します。苦しみは過去にはなく目の前にあるからこそ、目の前の問題をどう解決するかと考えなければずっと苦しいままなのです。そして私自身は自分にとんでもなく甘い人間なので、苦しい状態が長続きすることに耐えられません。より長く、よりいい気持ちで過ごしたい。なので、過去を眺めながら今の自分を不幸な状態に留めておくより、過去のことは一旦置いておいて、今の自分をいち早く救出する方法を探したいと思うんです。

もしこの考え方に少しでも共感してもらえたら、ももたろうさんにぜひ考えてみていただきたいのです。今のももたろうさんを苦しめているものは何か。ももたろうさんが明るさを失い、自信を失った一番の原因は何か。今の結婚生活や、職場環境、友達関係、そして親子関係など、まわりを今一度見直してみてください。それでもやっぱり特に問題がないと思えるのならば、仰るとおり先輩への思いが捨てきれないのでしょう。けれどももし何か一つでもそれ以外に、今直面している具体的な問題が見つかったとしたら、後悔はいったん後回しにして、その問題を解決するためにできることを、まずは考えてみるというのはいかがでしょうか。

ももたろうさんが、今この瞬間を楽しく、いきいきと生きることを阻んでいる本当の要因を見つけて、そこからご自身を守り、癒し、再起させてあげられることを、非力ながら私も、心からお祈りしています。

紫原明子さんへのお悩み相談はこちらから!

イラスト:わかる
紫原明子

紫原明子 (しはらあきこ)

1982年、福岡県生まれ。個人ブログが話題になり、数々のウェブ媒体などに寄稿。2人の子と暮らすシングルマザーでもある。Twitter

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

SHARE

※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は本体のみ(税抜き)の価格です。税込表記の商品は、配信日が2019年9月30日以前の記事は消費税8%、2019年10月1日以降に配信の記事は10%(軽減税率適用のものは8%)が含まれています。