くらし

【紫原明子のお悩み相談】婚約者がときどき高圧的で困っています。

『家族無計画』や『りこんのこども』などの著書があるエッセイストの紫原明子さんが読者のお悩みに答える連載。あなたもお悩みを投稿してみませんか?

<お悩み>
婚約中の彼氏がいますが、彼の、何かが気に食わなかった時の態度がすごく嫌で、結婚したい気持ちが薄れて来てしまいました。
何かが気に食わなかった時の態度というのは、その怒り?の勢いに任せて高圧的な感じで思いついた言葉をパッと言ってしまうような態度です(目を見開いてこっちを見つめて「はよ言いや」というような)。
私の父や兄が同じような感じで、なんでこの人たちはこんなに人を威圧するんだろう、そんな事しても建設的なコミュニケーションはできないのに、といつも思っていましたし、そういう態度で来られるたびに、言葉を発する気力を失っていました。
彼といるのは楽しい時は楽しいですし、時間にすると楽しい時が98%くらいです。嫌な態度のときは残りの2%です。ですが、その残りの2%の嫌な態度を取られた時の気持ちが、今は私の心の中の98%を占めています。
彼には以前から「あなたの態度が怖くて何も言いたくなくなる。笑いながら話せとまではいわないけれど優しく言葉を発してほしい」と伝えて来ているのになかなかなおりません。
私は、私が嫌な思いをして育ったような家庭を築いてしまうのでしょうか。 
(相談者:鶴子 /28歳、都内でSEとして働いており、婚約中の、彼氏と二人暮らしをしています。)

紫原明子さんの回答

鶴子さんこんにちは。高圧的な彼の態度、困ってしまいますね。

彼とは、どのくらいお付き合いされて婚約されたのでしょうか。彼の高圧的な態度というのは、最初からずっとそうなのか、あるいは最近急に増えてきたのか。それによっても対応は変わりそうですね。また、「そんな態度は改めて欲しい」と伝えた直後の彼の様子はいかがでしょうか。少なくとも聞く耳を持ってくれているのでしょうか。それとも、注意にすら高圧的に出るのでしょうか。

咄嗟に出る無意識の反応って、必ずしもその人の人柄からにじみ出るものばかりではなくて、その人のお父さんやお母さんなど、幼少期をともに過ごした身近な家族の、単に模倣の場合もあるように思います。理性や知性、美意識や倫理観といったものを養っていく中で、私たちの振る舞いや外見、考え方といったものも、大抵の場合それなりに洗練されていくと思いますが、一方で無意識にやっていることというのは、意識の外にあるからこそ自分で認識することができず、いつまでもアップデートされません。他人に指摘されれば分かりそうなものですが、それでもやっぱり難しいんですよね。

必ず改善されるかどうかは分からないけれど、鶴子さんは彼と過ごす時間の98%が楽しいと仰るのですし、せっかくなら、もう少しだけ粘ってみてもいいかもしれません。

そこでひとつ提案なんですが、彼と交換日記をやってみませんか?

何だか懐かしい響きがしますよね。そう、子供の頃にやっていたまさにあの交換日記です。恋人と交換日記をやってみる。交換日記メソッドは私のとある友人が考案しました。ものすごくモテるけれど、どちらかといえば話し下手で、何を考えているのか今ひとつ掴めない男性を好きになってしまった彼女。彼の本心をもっと知りたい、というのが交換日記を提案したきっかけだったそうです。1行でも2行でもいいから、次に会うまでに何か書いておいてねと交換日記を渡したところ、彼はちゃんと書いてくれたそうなんですね。これをなん往復もする中で初めて(なるほど、この人はこんなことを思ってたのか)と知ることができて、その結果二人は現在、どこからどう見てもお似合いの仲良し夫婦です。

文字のコミュニケーションといえばLINEやメッセンジャーなど、日頃から案外馴染みのあるものではありますが、即時性のある短い言葉のやりとりではなくて、まとまった時間を費やし、相手に贈り物をするように手紙を書いてみる。これを続けることで、冷静なコミュニケーションとはどういうことなのか、彼が気付くための一助となるかもしれませんし、鶴子さんの要望を聞き入れてくれない彼の心の内に迫れる可能性もあるんじゃないかと思います。

また何より、「交換日記しよう」と提案してみることは、それ自体、彼が鶴子さんとの関係にどの程度誠実かを測るための、一つの試金石になります。

というのも、恋人でいる間も、結婚してからも。人間二人の親密な関係というのはすぐに煮詰まるし、停滞するし、腐りかけます。だからこそ二人ともが、決してそうはさせないぞという強い意志を持って、いつまでも状況に応じて、関係性を刷新し続けていくことが不可欠です。ほかでどんなに怠惰になっても、これだけは決して怠ることができません。なぜなら、そうしなければ関係性は遅かれ早かれストレス発生機になってしまうからです。

二人のコミュニケーションの現状に問題が生じたとき、同じ足並みで解決に向けて進めるかどうか。今回はある意味、彼とそれができるかどうかを試す絶好の機会ではないでしょうか。よければぜひ、挑戦してみてください。

イラスト:クロワッサン編集部・どーなつ

紫原明子● 1982年、福岡県生まれ。個人ブログが話題になり、数々のウェブ媒体などに寄稿。2人の子と暮らすシングルマザーでもある。Twitter

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