くらし

江戸前の鶏かつおだしが香る2種の雑煮で、新たな年を祝う。【井澤由美子さんのレシピ】

いつもの縁起もの素材を使いながら、新感覚で簡単にできる料理です。
  • 撮影・MEGUMI 文・知井恵理

江戸前の鶏かつおだしが香る2種の雑煮で新たな年を祝う。

井澤家では、雑煮を2種類作るのが習わし。まずは、具もだしも伝統的な江戸雑煮で新年を迎える。そして、同じだしと母の自家製からすみを使った小粋なお年玉雑煮を楽しむ。

「父が毎年作っていた雑煮のだしは、鶏とかつおの合わせだし。浅草っ子の祖母の味です。同じだしでも具を変えたり葛でとろみをつけたりすると、新たな味わいになりますよ」

「家族全員が餅好き」という井澤家では、江戸雑煮で角餅を、お年玉雑煮で薄餅をと違った形を味わう。

捨てるところなしの美味しい鶏だしが取れたら、和食料理の幅が広がる。

ベースの鶏だし

塩をふるとき鶏皮のしわを広げて肉を包み込むよう整えると、形よくゆであがる。
全体に味を回すためキッチンペーパーで落とし蓋を。クッキングシートでもOK。

【材料(作りやすい分量)】
骨付き鶏もも肉3本(1200g)
粗塩大さじ2
水1600ml
長ねぎ1本
皮付き生姜1かけ
酒50ml

【作り方】
1.骨付き鶏もも肉に粗塩をなじませながら、鶏皮で身を包むように形を整える。
2.大きめの鍋で水を沸かし、1の皮面を上にして入れる。4等分に切った長ねぎ、包丁の背でつぶした皮付き生姜と酒を加えて、厚手のキッチンペーパーで落とし蓋をする。
3.2が温まったら中弱火で15〜20分煮て火を止め、粗熱が取れるまでそのまま1〜2時間おく。

鶏かつおだし

だしがふつふつと沸くくらいの火加減を保ちながら、かつお節を一気に入れる。
再沸騰後すぐ火を弱める。好みですぐ、または3分煮てかつお節を静かにこす。

【材料(作りやすい分量)】
上のベースの鶏だし4カップ
かつお節ひとつかみ
A[しょうゆ・みりん各小さじ2、酒大さじ3、粗塩ふたつまみ]

【作り方】
1.ベースの鶏だしを鍋に入れて熱する。だしが沸いたらかつお節を入れて3分ほど煮る。
2.ザルにキッチンペーパーを敷き、1をこしてAを加え、味を調える。

1.江戸雑煮

具材はシンプルにして、骨付き鶏もも肉とかつお節でとった合わせだしの豊かなコクと旨みを味わう。伝統的な江戸前の雑煮といえばこれ。

包丁の角で十文字の切り込みを入れる。ここが膨らみきれいに焼ける。

【材料(2人分)】
鶏かつおだし 椀2杯分
餅 適量
小松菜 2株
大根・にんじん各適量
かまぼこ 2枚
ゆずの皮少々

【作り方】
1.小松菜は塩ゆでして冷水で色止めし、4cm幅に切って水気を絞る。大根とにんじんは薄切りにしてゆで、冷水にとって交互に数枚重ね、端をそろえて1cm幅に切る。
2.餅の中心に十文字の切り込みを入れ、こんがりと焼く。
3.椀に2、1、飾り切りにしたかまぼことゆずの皮の順に入れ、温めた鶏かつおだしを注ぐ。

2.お年玉雑煮

年末年始に入手しやすくなるからすみを使って特別なお雑煮を。葛粉でとろみをつけただしとからすみの旨みが溶け合って、濃厚な味わい。

そぎ切りにしたからすみを薄餅2枚の間に挟む。3枚重ねでもよい。
アルミホイルを敷き、トースターでほんのり焼き色がつくまで焼く。

【材料(2人分)】
鶏かつおだし椀2杯分
薄餅・からすみ各適量
三つ葉1/2把
水溶き葛粉大さじ2〜3

【作り方】
1.からすみは5mm幅のそぎ切りにする。三つ葉はゆでて4mm幅に切り、水気を絞る。
2.薄餅を2枚重ねてからすみを挟み、炭火やトースターであぶる。
3.鶏かつおだしを鍋に入れて沸騰させ、水溶き葛粉を混ぜながら加えてとろみをつける。
4.椀に1の三つ葉と2を入れて、3を注ぐ。

井澤由美子

井澤由美子 さん (いざわ・ゆみこ)

料理家

旬の食材の効能と、素材の味を活かした料理を提案する。薬膳料理や発酵食レシピが多数。近著は『体がよろこぶお漬け物』(誠文堂新光社)。

『クロワッサン』1035号より

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