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【歌人・木下龍也の短歌組手】情景がきれいに浮かぶ短歌。

第41回全国短歌大会大会賞を受賞して以降、精力的に活動を続ける歌人・木下龍也さんが読者の短歌にコメントをする連載『短歌組手』。毎週金曜日夜に更新をしていきます。短歌の応募もぜひお願いします。
街角にて。

〈読者の短歌〉
立ち枯れたひまわりたちと会話する冬の寒さは星をみがくよ 

(百乱陽姉朱/女性/自由詠)

〈木下さんのコメント〉
「ひまわり」の黒い部分って顔みたいに見えるからチューニングさえ合えば会話できそうですよね。冬はあらゆるものが凛としていて、輪郭もはっきりしているような気がするから「冬の寒さは星をみがくよ」という感覚もよくわかる。表現として飛びすぎず、地に足のついた感覚から生まれた詩だなと思いました。先日ちょうど「立ち枯れたひまわり」の写真を撮りましたのでこの記事の最後に載せておきます。

〈読者の短歌〉
学校をズル休みした日の街は僕の知らない顔をしていた
「短歌を人に見てもらうのは初めてです。学校を休んだ日の午前中は、理由もなくワクワクしたものでした。」
(ペネロペ/男性/自由詠)

〈木下さんのコメント〉
「仮病なのだが…」と思いつつ病院の待合室で観るNHKは格別でしたね。

〈読者の短歌〉
バスを待つ恋人たちに雪が降るだけで世界にできる額縁

(砂崎柊/男性/テーマ「恋人」)

〈木下さんのコメント〉
絵になる光景を目にした人々の視界は、それぞれにひとときの「額縁」となるのでしょうね。

〈読者の短歌〉
ソーセージパンをほおばる 買ってすぐ 仕事終わりに すごくきたなく

(半島/女性/自由詠)

〈木下さんのコメント〉
文節の配置を変えて時制を整えると「仕事終わりにソーセージパンを買ってすぐすごくきたなくほおばる」というさらっとした文章になりますが、あえて時制を乱すことによって「すごくきたなく」の臨場感や、この短歌の主人公の持つ切迫感をうまく表現した1首だと思います。

〈読者の短歌〉
「ちゃーちゃーちゃーちゃっちゃちゃーちゃー 洋楽」で検索したけど分からなかった
(めぐこ/女性/自由詠)

〈木下さんのコメント〉
「てーれてーれてれてーれーてーれてーれーてれれ 洋楽」も知りたい。

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