脳をリセットさせる「マインドフルネス・ノート」のすすめ。
撮影・青木和義 イラストレーション・鈴木衣津子 文・黒田 創
綿本さんの考案によるマインドフルネス・ノート。果たしてどんなものか?
「ノートに出来事をありのままに記入することで、マインドフルネスの効果を深めることができます。私たちは自分の身に起こる出来事について、常に過去と対比しては“私はいつもこうだからダメなんだ”“あの人はああだから嫌い”と感情をミックスして捉えてしまう。そうではなく、実際に起きた出来事と、それに対する気分、本当に求めているもの、さらには書くことで気づいた自分の気持ちなどを切り分けながら、事実のみを抽出していくのです」
感情というフィルターを抜くことで自らを客観的に捉え、自分の心により耳を傾けられるようになる。これも高いマインドフルネス効果が得られる。
起きた出来事
コートを買いたいと夫に相談したら、目も合わさずに、まったく興味がないという感じで「好きにすれば」と言われた。
↓(マインドフルネス)(ありのままの事実を抽出)
コートを買いたいと夫に相談したら、テレビを見たまま、口早に「好きにすれば」と言われた。
今の気分
腹立たしい。もっと私を大切にすべきだ。いざとなったら離婚してやる。
↓(マインドフルネス)(ありのままの事実を抽出)
寂しい。悲しい。がっかり。
本当に欲しかったもの
いつも夫の面倒を見てあげているんだから、少しくらい自分の話に耳を傾けてほしかった。私の話よりそんなにテレビが大切か!
↓(マインドフルネス)(ありのままの事実を抽出)
夫の自分に対する関心。共有できる時間。夫婦のつながり。
書くことで感じたこと
書けば書くほどむかっ腹が立つ。マインドフルネスなんか、とてもじゃないけれどやってられない。正直、夫に、仕返ししたい。
↓(マインドフルネス)(ありのままの事実を抽出)
こうして改めて冷静に書き出してみると、コートが欲しいというそのことよりも、夫に自分の気持ちを無視されたことが悔しいのだと気がついた。
過去に囚われがちな私たちの心。嫌な出来事があると嫌な記憶も一緒くたになって感情が爆発しがちだが、まずは実際の出来事など4つの項目で思ったことを上段に書き出してみよう。次にそれを第三者目線で分析すると自分の心を冷静に見つめなおせる。
綿本 彰(わたもと・あきら)さん
日本ヨーガ瞑想協会会長
インドをはじめ世界各国でヨーガや瞑想指導を行う。『一瞬で自己肯定を上げる瞑想法』(KADOKAWA)など著書多数。オンラインクラス http://yoga.jp
『クロワッサン』1030号より
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