いつも間違ってばかりいるけれど、それも悪くないことよ――ジェーン・フォンダ(俳優)
1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、大俳優の潔いフレーズから、充実した生を送るための秘訣を読み取ります。
文・澁川祐子
いつも間違ってばかりいるけれど、それも悪くないことよ――ジェーン・フォンダ(俳優)
外国の雑誌では40代女性の話題でもちきりだという謳い文句で、フランス女性誌「ELLE」から、充実した日々を送る女性5人のインタビューを転載。トップバッターに、アメリカの有名俳優ジェーン・フォンダが登場しています。
彼女は当時、41歳。ベトナムの反戦運動を通じて知り合った政治活動家のトム・ヘイデン(1939-2016)と再婚し、政治運動に闘志を燃やす一方で、映画にも精力的に出演していました。
40代になった自身を〈正直いって、私はシワが増えるのはありがたくないし、若い頃より美しいとも思わない。でも、若い頃よりずっと快適〉と分析。そしてさらりと語ってみせたのが、今回の名言です。
間違いは素直に認めるけれど、後悔はしてない。その言葉には、いつも自分の気持ちに正直に行動してきたからこその自信が伝わってきます。
インタビューでは熱く夫への愛を語っていた彼女ですが、その10年後には離婚。その後も一度、結婚と離婚を経ています。さらに72歳でエクササイズのDVDを発売したり、昨年も81歳で気候変動デモに参加して逮捕されたり。
そのとき、そのときで自分の思ったことを行動に移す芯の強さは、いまなお健在。顔のシワは増えても、心のハリを失わないための秘訣が、この言葉に隠されています。
※肩書きは雑誌掲載時のものです。
澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。