くらし

自立ということが騒がれるのは、女自身が解放されていないからだって気がする――中山千夏(エッセイスト)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、女性解放運動をリードした人物の言葉から「女性の自立」を考えます。
  • 文・澁川祐子
1979年1月25日号「女にとっていま何が問題なのか?」より

自立ということが騒がれるのは、女自身が解放されていないからだって気がする――中山千夏(エッセイスト)

サブタイトルに「’79年版 女性論カタログ」と掲げられた女性問題を考える特集。誌面の下段に書籍の紹介があり、上段には、数名の著者インタビューが掲載されています。

新聞記者、作家、専業主婦というさまざまな立場から論じられる女性の問題。そのなかでピックアップしたのはエッセイストであり、タレントや議員など幅広く活動してきた中山千夏さん。1977年に刊行された著書『からだノート』は、女性が自分の体について書いた画期的な本としてベストセラーになりました。

中山さんは〈わたしは、自分自身がだいじなひとなの〉と語ります。自分が納得して、気分よく生きたい。そのために〈女であることによってワクをはめられたりすること〉など、じゃまになるものは変えたいと思う。それが女性解放運動に参加することへつながったといいます。

ただし、〈楽して自立したいひとがいっぱいいるみたいな気がするのね、楽なほうを選ぶという考えではだめだと思う〉と釘を刺します。自立するのも大変であれば、自立せずに不便に甘んじて生きることも大変。どちらの大変を選ぶかは自分次第だということです。

自分が本当に求めているものは何か。社会の枠にとらわれずに考えないかぎり、「自分で立つ=自立」にならない。この名言は、まずは女性1人ひとりが自分自身に問うことを求めているのだと受けとめました。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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