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『リケイ考古学ーイマドキの探ると守るー』│ 金井真紀「きょろきょろMUSEUM」

考古学×科学=昔の暮らしがよりわかる!

『リケイ考古学ーイマドキの探ると守るー』│ 金井真紀「きょろきょろMUSEUM」

数年前、弟の口から「物理」の単語が出てきた時は驚いた。理系科目などからっきし縁のない男である。中年になってゴルフを始め、気づいたのだという。
「あのね、ゴルフは物理なの。物理がわかればゴルフが上手くなるの」。
ほー。そういえば「料理は化学だ」と熱く語るシェフもいた。「浸透圧」とか「乳化」とか化学の仕組みを知ると料理はおいしくなる、と。理科は日常のあらゆるところに潜んでいる……。

さて今回は、東京都の埋蔵文化財の調査・研究拠点をお訪ねした。都内で出土した石器や縄文土器がゴロゴロ。1万年前の東京なんて普段考えたこともないから、展示物を見ているだけで心がのびのびしてくる。わたしと同じ土地に住んでいた縄文人……どんな風景を見ていたんだろう。何を食べていたんだろう。

「それを理科の力で突き止めるのがイマドキの考古学です」と案内してくれた舟木太郎さん。
日本では考古学は文系科目だが、昨今は理科的手法を駆使して謎を解明していく研究も盛んだという。赤外線カメラ、X線透視装置、CTスキャンなど、まるでドラマ『科捜研の女』に出てきそうな道具が活躍する。そう、言ってみれば縄文人の科学捜査だ。科学技術の力で、これまで見えなかったことが見えてくる。研究者の興奮はいかばかりか。
長年、発掘調査に携わってきた係長の武笠多惠子さんが「私が学生の頃とは比べものにならないくらい進歩しています。長生きはするもんだ」と笑顔でおっしゃっていたのが印象深い。

『リケイ考古学ーイマドキの探ると守るー』は東京都立埋蔵文化財調査センター(東京都多摩市落合1-14-2)にて2021年3月10日まで開催中。近年の埋蔵文化財の調査研究や保存修復での理化学的手法を多くの展示物とともに紹介。 TEL.042-373-5296 9時30分〜17時 10月30日、年末年始等休館 無料

金井真紀(かない・まき)●文筆家、イラストレーター。最新刊『虫ぎらいはなおるかな?』(理論社)が発売中。

『クロワッサン』1029号より

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