【達人たちの防災グッズ】充実した食事と安心なトイレの二段構えで、避難生活中の健康をキープ。
撮影・岩本慶三 文・知井恵理
昨年末に防災士の資格を取得した島本美由紀さん。そのきっかけは?
「もともと関心はあったのですが、食品ロス削減アドバイザーの講演中に『防災食の話も絡められないか』と相談されることが増えたこともあって、決断しました」
そんな島本さんが食料をストックする際に心がけているのは、日常食と非常食に分けて保管すること。
「日常食は、賞味期限が1〜2年で毎日の食事にも使う食材やレトルト食品。これは目の届きやすいキッチンに置いています。非常食は、賞味期限が2〜5年で、非常時に食べる食料。これは玄関脇の部屋に保管して、賞味期限が近づいていないか半年に1回チェックしています。どれも一目で期限がわかるよう、テープに日付を書いて貼っておくと、簡単に見直せて食品ロスも防げます」
さらに、冷凍庫にはつねに氷を充分に保存し、ペットボトルの水を凍らせた“ペットボトル氷”も用意。
「緊急時は、冷蔵庫に移して食材を冷やしたり、熱中症対策として自分の体を冷やしたりなど、保冷剤代わりに使えるので重宝しますよ」
そして、島本さんが「食料と同じ、もしくはそれ以上に備えが大事!」と説くのは、簡易トイレ。
「排泄できる環境が整っていないと、つい水や食事を控えて健康を損ねがちです。また、環境が変わると便秘になる方も多いですが、避難所のトイレを長時間占有するのは難しいので、自分で排泄環境を整えておくことはとても重要です。成人が1日にトイレへ行く回数は平均7〜8回と言われているので、家族の3〜7日分は簡易トイレを準備すること。これからの時代は、命も健康も守っていくことを考慮した備えが必要です」
ふわふわしっとりのパンは食感も味の種類も魅力。
島本さんによると「緊急事態宣言の後、最初に売り切れたのはパン」だそう。「避難生活中もおいしいパンがあると心が和むはず。ブルーベリーやストロベリー味も美味」。
おなじみの味を口にできると被災時も心が落ち着く。
吉野家の高性能玄米「金のいぶき」と牛丼の具が入ったご飯缶詰。
組み立て式便座とセット。かわいいパッケージも人気。
吸水シートがセットされた袋がロール状になっていて使いやすい。
避難の長期化に備えて消臭効果が高いものも。
圧倒的な防臭力で高く評価されている。
来客時に災害発生の可能性も想定し、多めの備蓄を。
15年間の長期保存が可能。消臭・抗菌効果も。
常備しているレトルト食は立てて収納。見える部分にマスキングテープを貼り、賞味期限を記載しておくと食品ロス防止に。「レトルト食品は塩分濃度が高めなものが多いので、のどの乾きを防ぎたい非常時には半量にする、または合わせる具や麺を増やすなどして、上手に使いましょう」
製氷皿はつねに氷で満杯にし、ペットボトルの水も1〜2本冷凍しておく。「停電時にはペットボトル氷を冷蔵庫に移して、食材の鮮度を保てます」
非常時の熱源として頼りになるカセットコンロとカセットボンベは、使用期限に要注意。「ガス漏れを防ぐためのゴムパッキンが劣化していくので、コンロは製造日から約10年、ボンベは約7年が目安です。コンロは側面、ボンベは缶底に製造日が記載してあるので、確認しておくといいですね」
『クロワッサン』1028号より