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【山田ルイ53世のお悩み相談】関係がよくない祖母に結婚の挨拶をするべきか悩みます。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回は結婚の挨拶のための食事会にいじわるな祖母を招待するべきか悩む女性からの相談です。
  • 撮影・中島慶子

<お悩み>

山田ルイ53世さん、初めまして。いつも的確な回答をされていて凄い方だなぁと思っていたので、私の悩みを相談させてください。
私は来年に入籍予定ですが、自分の祖父母や母に対して、結婚の挨拶というご飯の場を設けるべきか悩んでいます。

簡単に家族構成をお伝えすると、私の祖母は、いわゆる毒親です。そして、私の母は、毒親に育てられて精神的にどこか病んでいる大人で、私に対しても軽い毒親になってしまっています。私の実の父親は、私が1歳の時に離婚。すぐに母が再婚した相手は、DV旦那で、私と母は苦労しました。その後は、母は別の再婚相手と結婚しましたが、その方の性格も難ありで、私との関係は良くありません。

私は13歳の時に完全に不登校になり、その時に一緒に暮らしていた祖父母や母からすると、私は「不出来な子供」でした。訳あって、その頃から母は、今の再婚相手と海外に住むようになり、今でも日本には年に1、2度帰国する程度です。当時、私は日本にいたかったので、祖母の家で暮らしていましたが、祖母にいじめられているような生活でした。祖母との関係もずっと悪く、今はいとこの方が可愛がられているので、私の存在はなかったようなものになっています。(ただ、最近、私の就職先が有名企業だと知ると、手のひら返ししてきました)

私は大学入学を機に、自力で運良く「普通の生活」に戻れましたが、人生の節目を思い返すと「家族」は出てきませんでしたし、「お祝いのプレゼント」もあまり記憶にありません。母がくれたものは、母親らしい愛情よりかは、お古の洋服やサプリメント。珍しく「何か買ってあげるよ」と言われて「じゃあ、これ欲しい」と言ったものは、直前になって、「やっぱり自分で買って」と言われることも数回。
私の話は聞かず興味がないくせに、私に愚痴を吐き出す1〜2時間の長電話はしてきます。

そんな関係なので、私はずっと昔から「家族」がいない感覚で、「結婚の挨拶」と言う一般的な「マナー」を考えるべきかわかりません。
母は、「家族」として祖父母にも同席してもらうべきだと言うのですが、私の彼氏はバツイチで、年齢も25歳ほど離れています。式はあげません。親戚間の陰口のネタ提供になるだけで、挨拶したから今後は親や親戚に何か頼みやすくなるとも思えません。母親に強い恨みはありませんが、どうしたら良いのか、混乱しています。

(迷子の星/女性/20代後半です。最近、国家資格受験のために会社を辞めたフリーターです。)

山田ルイ53世さんの回答

来年入籍のご予定とは、実にめでたい話。
本来なら幸せ一杯のはず……いやいや、勿論、お幸せでしょうが、一方で母親や祖母といった存在が絡んでくると頭が痛いという“迷子の星”さん。

“結婚の挨拶”のため、食事会などの場を持つべきか否か……これは相談する相手が悪かったかもしれません。
と言うのも、筆者が妻と所帯を持つ際、彼女のご両親には此方からキチンと一席設けてご挨拶の機会を得ましたが、自分の実家についてはこれといって何もしなかったからです。
いや、我ながら驚きました。
今、ザっと振り返ってみても、
「今度結婚するから!」
と報告した記憶さえない。
そもそも、この20数年間、実家へ帰ったことがなく、父と母と顔を合わせたのは、精々3、4回。
電話やメールのやり取りもごく稀です。
特に仲違いしているということもなく、「そんな家族」というだけなのでお気遣いは無用ですが、相談者の仰るような「世間一般のマナー」とかけ離れているのは間違いないでしょう。
この“マナー違反”が、「仏の道にもとる!」と非難されるならそれまで。
背負った業(ごう)のリバウンドで、来世は“マナー講師”確定です。
ちなみに、式も挙げておりません。

相談者が気にしておられるマナー(“筋”と言ってもいいかもしれません)ですが、文面を拝見する限り、お母様やお祖母様が自分の娘、あるいは孫娘(要するに“迷子の星”さんのことですが)に対して“マナーある接し方”をしてこられたとはとてもじゃないが言い難い。
筆者は、マナーというものを、「その場を成立させるためのルール」であり、「お互いが心掛けるべきもの」だと捉えています。
片方だけが気を遣い、礼を尽くさねばならぬような状況では、マナーではなくマウント。
竹刀と真剣、寸止めとフルコンタクト……2つが同時に存在できる舞台など無いわけで、あるとすれば、そこは無法地帯でしょう。

「母親に対して、“強い”恨みはない」と仰る相談者。
つまり、平たく言えば、祖母への恨みは依然として強く、母上に関しても、恨んでいないわけではないということでしょう。
「家族から距離を置きたい」、「今更、家族面をされたくない」等々、色々と思うところはあるだろうとお察ししますし、件の“挨拶の場”に彼らを招くことが、何か免罪符を与えたような恰好となり、万が一にも、
「許された!」
などと受け取られてしまっては、これまた釈然としないでしょう。

そういったモヤモヤも含め、今大切なのは、相談者ご自身が心穏やかに、機嫌よく暮らしていくためにはどうすればいいのか、この一点のみ。
この際、世間的なスタンダード(そんなものがあるのか疑問ですが)などどうでも良いのです。

今回は食事会はナシで、という判断も当然“アリ”かと。
ただ、その旨を告げる際、
「“コロナ”も心配だし……」
とでも添えておくことをお忘れなく。

あくまで、健康を案じてのこと(先方が納得しようがしまいが)だという“盾”、もとい建前は用意しておく方が良い。
この際言ってやろうと、
「こんなときだけ、家族面するな!」
などと気持ちを吐き出してみたところで(それも相談者の自由ですが)、その一瞬は溜飲が下がるかもしれませんが、残念ながらこの母上や祖母の心には響くと思えませんし、結局先々の面倒の種を増やすだけのような気がします。

相談者は、ご結婚、国家資格の受験と大事を控えた身。
煩わしく、集中力を削がれるような案件は、出来る限り減らしておいた方が無難です。
今は“保留”し、様子を見る。
そのためには、事態の主導権をご自身が握っておく……これが一番ストレスの少ない道ではないでしょうか。

確かにマナー不足の相談者。
いや、“周囲に”ではなく、“ご自身に”対してです。
今後は、もっと自分の人生に気を遣い、礼を尽くして下さい。
お幸せに。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。
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