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【紫原明子のお悩み相談】不倫関係の年下独身の彼氏がいます。

『家族無計画』や『りこんのこども』などの著書があるエッセイストの紫原明子さんが、読者のお悩みに答える連載。今回は夫婦公認の不倫関係に疲れてしまった女性からの相談です。

<お悩み>

私には、不倫関係になって8年になるかなり年下独身の彼がいます。 わかりやすく彼と呼びますが、愛されていると感じたのはほんの一年弱で、あとは必死で尽くし、すがって続いてこれた関係です。 彼と出会うまでは、旦那だけを愛し、家族を支えることが幸せだと、そんな自分を誇りに思って生きてきました。 家庭は誰から見ても理想的な家族です。孫も生まれました。正真正銘のおばあちゃんです。 旦那は夢もある、人として魅力的、頼りになる、そんな素敵な人です。 女好きで浮気が星の数ほどと言っても過言ではないくらいですが、嫉妬も不安ももう感じることもありません。 いわゆる、夫婦公認の不倫だからです。

3年前、旦那に不倫相手と一緒になりたいと言われた時に、家族を失くしたくない思いから旦那を取り戻したものの、私も旦那を裏切っている罪悪感と不倫相手に蔑ろにされる苦しみから旦那に泣きつく形で暴露しました。 旦那は傷つきつつも、そんな私にしたのは自分のせいだからと、これまでも、これからもパートナーとして私を支える覚悟を、決めてくれています。 私は、そこに安心を覚えたからなのかこの年下の彼のことを手放せません。 最近、この彼に今までになく夢中な彼女が出来て、ほんの僅かの私に向けられていた情も、時間も全て彼女にサラッと持っていかれてしまいました。 それでも、隙間産業でよいからと彼に余裕がある口調ですがってしまい、彼も渋々私と連絡は取り続けてくれているものの自業自得ですが身も心もボロボロです。何も知らない、罪もない彼女を恨み、嫉妬し、どんどんと惨めな人間になっています。 旦那はもちろん全て知っているので彼のことはもう諦めた方が幸せだと、時間は貴重でもっと自分が幸せになることに使うべきだと、それを自分で探さなきゃダメだと こんな、女として妻として母として最低な私を大切な人として、救おうとしてくれます。 それでも、私はこの暗闇から逃げ出せずに、彼を追い求めています。 どこに相談しても自分に言い聞かせようとしても覚悟を決めることが出来ません。 柴原さんならこんな私にどんな言葉をかけてもらえるのでしょうか。 自分で解決するしかないのは十分わかっています。

(つみれ/パート勤めの50歳主婦です。 成人した娘が2人います。 長女は嫁ぎ孫も最近生まれました。)

紫原明子さんの回答

つみれさんこんにちは。いただいたお手紙を読んで、つみれさんはなんとやり手でいらっしゃるのかと度肝を抜かれました。人として魅力的で、頼りになり、女性たちからモテモテの夫を浮気相手から奪還し、人生のパートナーとして支えてくれる覚悟を決めさせている。かなり年下の彼もいて、彼に恋人ができても尚つみれさんとの関係を続けさせている。夫は彼との関係の相談に乗ってくれる。お二人の娘さんは立派に成人されお孫さんまでいらっしゃる……。欲しいもの、失いたくないものをこれだけすべて手に入れることのできるつみれさんは紛うことなき人生の上級者ではありませんか。最早私からお答えさせていただくようなことは何もないような気さえしてきます。

つみれさんがおつらいのは重々承知しておりますが、一旦それはさておきつみれさんご夫婦のあり方だけを見てみると、子育ても無事終わり、人生の後半をともに過ごす夫婦としての最適解を見せていただいているようで、なんだか大変希望が持てます。子育てという一大プロジェクトを通じて、残念ながら夫婦がどんどん恋人でなくなってしまうというのはもう皆様ご存知の通りですが、特に乳幼児のケアという重労働を前にすると、恋人どうこうというより自分が人でさえなくなってしまうという、そんな瞬間が訪れるんですよね。思えば私も子どもたちが赤ちゃんのうちは、いつでも授乳できるようにとほぼ上半身裸、原始人スタイルで生活していました。その辺に転がっているお茶を飲んだり、台所で立ったままご飯を食べたり……。で、こうなるのってなぜか大抵の場合、妻だけなんですよね。ごくまれに、妻と同じ速度で文明人らしさを失ってくれる夫もいるにはいるけれど、おそらくつみれさんの夫は、失礼ながらそのタイプではなさそうです。

こちらが髪を振り乱して文明から切り離されている間に、文明人のままである夫の方は小綺麗な格好をして外で浮気を繰り返している。こんなにも腹立たしい話はないわけですが、一方でそんな不貞野郎どもにも大なり小なり良心の呵責というものがあるようで、たとえ浮気が許されたとしても、後ろめたさや申し訳なさから関係性を健全に戻すことができなかったり、あるいはヤケになってどんどん自分も周りも傷つけたりすることがあるようで(そういうのを見るとつくづくケツの穴の小さい人間が浮気なんかするなと思うわけですが)、そういう意味でもつみれさんの夫は、つみれさんの浮気に内心とても感謝していると思いますよ。つみれさんが浮気し、それを打ち明けることによって、それまでの借りが一気にチャラになったんですから。もちろん、多少はショックを受けられたでしょうが、同時に心の中の雲がすっと晴れて、久しぶりに陽が差したかのような感覚を抱かれたのではないでしょうか。また今現在は、傷ついた妻を救うヒーローとしての自分、という新たな役割に、生き生きされていることとお見受けします。(他人である私から見れば、子育ての大変な時期の、夫の複数回の浮気と、子育てが落ち着いてからの、たった一回の妻の浮気が同等なわきゃない、と感じますがそれはあくまでもご本人同士が決めることですので)

さまざまな困難をともに乗り越え、すっかり家族となってしまったパートナーに、もうかつてのような恋心を抱けない。……でも、恋はしたい。そう嘆く声は、私の周りの夫達、妻達から、しばしば聞かれます。が、いざ現実に婚外恋愛しようとすると、生活の不安を伴う熟年離婚のリスクが重くのしかかる。またつみれさんご夫婦のように公認でやろうにも、相手の反応が怖くて切り出せない。そうやって泣く泣く諦めている人達が決して少なくない中で、結果として望むものをすべて手に入れられているつみれさんは、繰り返すようですが大変、大変素晴らしい手腕をお持ちなのです。ですからまずはぜひ、ご自身の行動力や選択、これまでの歩みに自信を持ってください。

で、妻として母として全くもって最低ではない、むしろ優秀過ぎるほど優秀なつみれさんが、ご自身の能力を正しく認識し、自信を取り戻しさえすれば、自ずと年下彼氏への執着も弱まっていくのではないかと私は思っているのです。が、もしもそうでなかった場合、もういっそのこと「夫と3人で、うちで暮らさない?」と提案してみてはどうでしょう。とんでもなく非常識だけど、常識の枠に留まらない画期的なスタイルを実現してきたつみれさんなら、なんとなくこれだってアリな気がしてきます。もちろん、それでも新しい彼女にゾッコンと言われたら諦めるよりほかないけれど、物は試しです。きっと、こうと決めたら譲らない強さをお持ちなのだろうと思いますので、この際体裁なんて気にせず、最後まで欲しいものを諦めない姿勢を貫き通してみるというのはいかがでしょうか?

イラスト:わかる

紫原明子● 1982年、福岡県生まれ。個人ブログが話題になり、数々のウェブ媒体などに寄稿。2人の子と暮らすシングルマザーでもある。Twitter

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