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女性は、地を這って生きているのが現実です――雨宮栄子(ラジオプロデューサー)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、40年あまり前の働く女性の訴えを、現代と比較しながら紐解きます。

文・澁川祐子

女性は、地を這って生きているのが現実です――雨宮栄子(ラジオプロデューサー)

1979年4月25日号「クロワッサンインタビュー」より
1979年4月25日号「クロワッサンインタビュー」より

スタッフ全員が女性という、ラジオの新番組のプロデューサーが巻頭インタビューに登場。毎日のニュースや話題を追いながら、主婦や子ども、高齢者などさまざまな世代の生の声を反映させるという番組のコンセプトについて語っています。

そのやりとりを読むとかなり地に足の着いた内容なのに、なぜか宣伝文句は「翔んでる女たちによる番組」。それについてインタビュアーに尋ねられたときの答えの一部が、今回の名言です。

女性たちは翔んでなんかいない、むしろ地を這って生きている。その答えから、このキャッチコピーは彼女たち自身がつけたものではないことがわかります。さらに彼女は“翔んでる女”と同様、〈“キャリアウーマン”もマスコミが作った流行語〉だと言い、次のように語ります。

〈実際に働いている女性は、私たちを含めて、決して派手な時間を過ごしているわけではない。私自身、働く女として、妻として、母親として、苦しんできたし、これからもそうだと思います〉

当時は女性たちが新しいことをしようとするとき、こうしたレッテル貼りが当たり前に行われていたのでしょう。いまなら即炎上ものだと思いますが、一方でいまだに女性が働くことに対して「女性が輝ける社会」などと言われる始末。最後に彼女が語った〈男が与えた“あるべき女性像”を超えたい〉という訴えは、いまなお多くの女性たちの心の声なのではないでしょうか。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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