まなほさんにとって、ありのままの自分でいることは、生きる上で、長年持ち続けてきたテーマでもある。
「20代半ばくらいまで、“自分とは何か”とずっと考えていました。人と接している時の自分が本当の自分ではないような気がして、苦しくて、悲しくて。でも、私が魅力的だと感じるのは自分をさらけ出している人。私もそうありたいと、強く思っていたんです」
そんなまなほさんの心をときほぐしてくれたのが、寂聴さんとの出会い。
「瀬戸内は私という存在を認め、とても褒めてくれました。自分が必要とされている。そんな感覚が私に自信をくれて、ありのままの自分でいいんだという気持ちになれたんです。実は、おべんちゃらや思ってもいないようなことが言えない。瀬戸内に対しても、ほかのスタッフが言えないことを言うので、損をすることも。それでもありのままの自分でいようとするのは、好きな人に対して真っ直ぐに向き合いたいから。とはいえ、本人を目の前にすると感情が溢れて素直になれないことも。そんな時は手紙を書くようにしています。文章なら、感謝の言葉など照れくさいことも素直に伝えられるんです」