先行きの見えない不安感が世の中を覆ったコロナ禍。買い占めや“自粛警察”など、人間の弱さや他人への不寛容が浮き彫りになる出来事が次々と起こり、不確かな情報に踊らされる。そんな毎日に疲れを感じる人は多い。
「初めての事態にオーバーに反応して、右往左往するのは当然のこと。でも、そんな状況の中でも幸せに生きようとするならば、“わからない”を楽しむ心意気が大事なんだと思います」
未知の出来事にはとかく身構えてしまいがちだが、好奇心をもってとらえれば違うものが見えてくる。
「特にコロナ関連では次々新しい情報が出回って振り回されてしまうこともあったけれど、この世界全体を巨大なジグソーパズルだと思ってたくさんの情報に触れてみれば、そこに楽しみも生まれると思うんですよね。そのためには新聞、テレビ、SNSと、とにかくいろんな人の意見に触れること。そして『この人の話は信用できるな』という人がなんとなく見えてきたら、その意見を仮にキーストーン的なピースとしてパズルの四隅において一歩引いた視点で眺めると、だんだんと全体像が見えてくるのではないかと」
そこで大切なのは、完成を急ぐのではなく過程を楽しむ心持ち。
「世界は大きいから、一人一人の情報なんてかけらに過ぎないけれど、そのかけらを寄せ集めて世の中がだんだん見えてくればそれでいい。このパズルは完成しないかもしれないけれど『これ、ここらへんかも』ってわかるとうれしいし、ピースが埋まっていく感覚自体を味わうのが楽しいと思うんですよね」