くらし

江戸東京たてもの園『大銭湯展』│ 金井真紀「きょろきょろMUSEUM」

銭湯の宇宙を構成するたてものと小道具たち。

わたしが銭湯に目覚めたのは10年ほど前。熱めのお湯と水風呂を往復すると自律神経が整う気がする。電気風呂のビリビリも好き。おばちゃんたちのおしゃべりも耳に心地よい。出かけた先で入る銭湯もまたオツなもんで、鞄にタオルを忍ばせていることも多い。東京の銭湯は1968年の2687軒がピークで、その後どんどん減り今や500軒あまり。「遅れてきた銭湯ファン」として、さらなる減少を食い止めようと裸一貫がんばっている次第である。

というわけで今回は勇んで「大銭湯展」に出かけた。鎌倉時代に建立された東大寺の湯屋の写真から始まり、江戸時代の銭湯の図面、ケロリンの桶、フォークソング「神田川」から漫画「テルマエ・ロマエ」まで公衆浴場の変遷に興味津々。さらに園内には昭和4年から63年まで足立区で営業していた「子宝湯」が丸のまま移築されており、そちらも見学できる。入母屋(いりもや)造りの大屋根や精緻な彫刻など建築学的な見どころがいっぱい。同時に、喫茶店の広告看板や女湯の脱衣所に置かれた赤ちゃん用体重計に染み付いた「昭和」にしみじみする。たてものと大道具と小道具、そのすべてが「銭湯の宇宙」を構成してるんだなぁ。

たてもの園には、銭湯以外にも丸ごと移築された家屋や店舗が多くあり、技術とたてもの愛に圧倒された。以来、年季の入ったお店に行くたびに「あぁ、いつか建て直す時がきたら、たてもの園に移築してほしい。古いレジと壁の大熊手も忘れずに……」などと妄想している。

『大銭湯展』
江戸東京たてもの園(東京都小金井市桜町3-7-1)にて9月27日まで開催中。東京の銭湯の歴史や社会に果たした役割などをグッズや写真とともに展示。TEL.042-388-3300 9時30分〜17時30分 月曜(9月21日は開園)、9月23日休園 料金・一般400円

金井真紀(かない・まき)●文筆家、イラストレーター。最新刊『虫ぎらいはなおるかな?』(理論社)が発売中。

『クロワッサン』1026号より

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