くらし

【山田ルイ53世のお悩み相談】孤独死に恐怖を感じています。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回は人との繋がりが希薄で孤独死に恐怖を感じている男性からの相談です。
  • 撮影・中島慶子

<お悩み>

30代半ばから1人暮らしをはじめましたが、その頃から孤独死する事に恐怖を覚えます。
独身で一人っ子。仕事以外ではネットでの人のつながりがある程度なので、
「唐突に死んでしまったら誰にも気づかれずそのまま家で腐り果てるのではないか」
という恐怖心があります。
今はシフト業務に入っているので来なくなったら連絡は来るでしょうし、そうなると数日のうちに「死んだ」と分かってもらえそうなのですが退職でもしようものなら誰にも気づかれません。
かといって収入も年収400万を切る位でそんなに多くないですので婚活とかも無理があります。
少なくとも500万はないといけないと聞いていますし、今の会社で4社目でやっと正社員になれたところ。いまさら転職しても状況が悪化するとしか思えません。
今の業務は土日や夜勤の仕事も多くおそらく長生きはしないだろうなと思うし、親戚には早死にした人もいるんですが、うっかり定年後まで生き延びた場合に
腐乱死体にならない為には何を準備したらいいのでしょうか?

(碧海/男性/47歳、IT企業のオペレータ。独身1人暮らし。)

山田ルイ53世さんの回答

現在独り身の1人暮らし、おまけに1人っ子と“ひとり尽くし”で、
「唐突に死んだら、誰に気付かれることもなく家で腐り果てるのでは……」
と恐れ戦く碧海さん。

確かに、“孤独死”は今や深刻な社会問題の1つ。
いや、少なくとも筆者は、
「仲間や家族に囲まれた人生にしか価値はない!」
とは全く思っていませんが、
(もし自分が1人で最期を迎えるとしたら……)
と想像すると、正直良い気分ではない。

コロナ禍のこういうご時世。
正社員云々に関しては、
「新しいことに挑戦しなよ!」
などと無責任なことは、口が裂けても言えません。
その座は死守すべきだろうと思います。
ただ率直に申し上げて、相談者はもっと“目の前のこと”でジタバタした方が精神衛生上良いような気も。
単純に「放置」を回避したいのであれば方策は色々とあるのでしょうが、恐怖心や不安を完全に払拭するとなると、滝に打たれ、仏門に入るくらいしかないでしょうし、何より、将来「腐る」ことを恐れる余り、今から「腐ってしまう」というのも本末転倒かと思うのです。

相談者の文面を拝見していると、「少なくとも(年収)500万円はないといけないと“聞いている”」とか、「土日や夜勤の仕事が多く、長生きはしない“だろうな”」といった憶測が目立つ。
「親戚に早死にした人がいるが、うっかり定年後まで生き延びた場合どうすればいいのか」に至っては、もはやちょっとしたパニック状態です。
とにかく終始、“八方塞がり”だと言わんばかりですが、実際は……どの方向も塞がってさえいない。
全て、相談者の心の内で完結させてしまっているだけのことです。
先々のことに思いを馳せるのは、「建設的」と言えなくもないですが、「建設的」はあくまで“的”なだけであって、「建設」はしていないのだと肝に銘じて下さい。
いや決して、「何もしないうちから諦めてんじゃねーよ!」といった熱いメッセージをお送りしたいわけではなく、もっと自分の気を紛らわせ、誤魔化す作業をしていきましょうという話です。

孤独については、少々詳しい筆者。
中2の夏からとあるキッカケで不登校、そのまま6年間“引きこもった”ため、同世代と“ハグれて”しまい、30過ぎまで「人生が余った……」、「世間とは関係が無い人間になった」と苛まれてきました。
今とて、仕事以外の社交はゼロ。
妻子を得たことで、「腐る」可能性は減りましたが、その一方で、仕事で地方へ向かう際、飛行機に乗ったりすると、
(万が一これが墜ちたら、子供達はどうやって生きていくのだろう……)
と物騒な考えが頭を過り、
「あ゛ぁぁぁ―――!!」
と叫んでしまいそうになることがあります。
むしろ、死への恐れは増したと言えるでしょう。
そんなものです。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。
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