ほろりと柔らかい、シンガポール風バクテー【口尾麻美さんのアジアのスパイス料理レシピ】。
撮影・黒川ひろみ 文・大澤千穂
【シンガポール】シンガポール風バクテー
八角
中国料理に欠かせない、星のような形をした香辛料。別名「スターアニス」。甘く華やかな香りで、肉の煮込み料理や杏仁豆腐などに使われる。整腸作用や冷え、風邪予防などの効果あり。
ほろりと柔らかなスペアリブに八角とにんにくの旨味がしみて。
華僑がもたらした、シンガポールの国民的スープ。柔らかなスペアリブから八角やにんにくの香りが立ち上る、その深いコクの秘密は、「厚手の鍋で休憩を入れつつ煮ること。一度煮てから間をおいて再び煮ることで肉に味が入ります」。
【材料(2〜3人分)】
豚スペアリブ400〜500g
にんにく1個
しょうがの薄切り3枚
水1〜1.2リットル
A[八角1個 塩小さじ1 砂糖小さじ1/2 しょうゆ大さじ1/2 あれば黒こしょう(ホール)大さじ1/2 白こしょう大さじ1]
【作り方】
1.スペアリブを沸騰した湯に入れ、ゆでこぼして汚れを洗い、鍋に入れる。にんにくはフライパンで皮ごと乾煎りして、表面が茶色くなったら鍋に加える。
2.鍋に分量の水としょうがを加え、沸騰したら弱火にし、30分煮て火を止め、15〜30分おく。
3.鍋にAを入れてさらに30分煮、肉が柔らかくなったら好みで挽いた白(または黒)こしょう(分量外)で味を調える。
街角や家庭で愛されるローカルの味を、手に入りやすい食材で。
「消化力を上げるクミンや体を温める八角はじめ、生薬の力が日々の食に根付いているのが、中華圏や東南アジア料理の魅力のひとつ」
と語る口尾麻美さん。今回伝授してくれたのは、日本でも手に入る食材で簡単に作れる各国のローカル食。
「スパイスには素材の味を引き出して深みをもたらす、優れた調味料としての一面も。身近な食材がスパイス一つで新鮮な味に変わります」
高温多湿な日々を乗り切るアジアの知恵を、ぜひこの夏の食卓に。
『クロワッサン』1023号より