夏に向けて気をつけたい、在宅中のお金の注意点をプロが解説。
〈質問〉
在宅の時間が増えました。外に出なくてお金を使う機会も減る、と思ったら、スーパーでの買い物やデリバリー、テイクアウトの食事、ネットショッピングなどで出費は意外に多いです。だんだんと暑くなってくると光熱費も心配。
ステイホーム中でのお金の使い方で気を付けることはありますか。
〈ファイナンシャルプランナー・佐々木愛子さんの回答〉
思いがけない「ステイホーム」、初めての体験に、どのご家庭でも戸惑いや発見があることでしょう。
お金の使い方についてアドバイスするのであれば、ポイントは3つです。
まず一つ目は、「比較」です。ステイホーム前と後の家計を、項目ごとに比較しましょう。光熱費、食費、外食費(デリやテイクアウトで奮発したものをここに)、被服費・娯楽費、この4つにこれまで見られなかった変化はありませんか?
家族が日中家にいることで、当然ながら食費や光熱費は増えることでしょう。しかしそのプラス分が、外食費と被服費・娯楽費のマイナス分で相殺していれば、必ずしも問題視することではありません。
お金の出入りに関しては、どんな状況下でも「見える化」して、事実である数字を比較することが大事です。気分や感覚で「増えてそう」とか「あんまり使ってないと思う」といった想像は、事実と異なることがよくあります。比較して具体的な数字を確認できれば、今後気を付けるべき「お金の量=金額」を、少なくとも1週間、1か月単位で調整することで、大きな問題にはなりません。
二つ目は、「季節変動」です。これから夏を迎えます。毎年のように猛暑という言葉を耳にしますが、一つ目の確認作業で問題がなかった場合でも、これからの数か月、クーラーの稼働で必ずと言っていいほど、光熱費は上がるでしょう。また、食費面でもアイスクリームや飲料水などの、涼をとる理由での出費が増えるかもしれません。
できる事としては、「電気料金プランの見直し」です。これまで夜間の電気料が多いのを前提に契約していたプランを、日中も同様に(もしくは日中をメインに)使う場合で料金シミュレーションをしてみましょう。(驚いたことに、オール電化の筆者宅でシミュレーションをしてみたところ、年間6万円以上もの損をしていることが分かりました!)
電力販売会社のHPなどから、WEB上で簡単にシミュレーションができますので、一度試されることをおススメします。
食費面でのアドバイスでは、「冷たいものをあまりとらない」そして、「腹8分目」にすることです。健康アドバイザーではないので個人的に筆者が実践している例に過ぎませんが、ジャンクフードや炭酸飲料をめったに取らない生活をしていると、「食べたい欲」というものはあまり湧いてこないものです。ミネラルやビタミンなどの栄養がきちんと摂れている身体なら、「間食」というものがほとんど存在しません。
お金の無駄遣いの一因が、もしスナック菓子など本来必要でない食費にあるとすれば、このような実践で自然に解決できるかもしれません。
さて最後のポイントは、「家族会議」です。
お金の話は誰でも、「面倒くさい、億劫だ」とつい先送りにしがちです。しかしステイホームの今だからこそ、家族が家にいる今だからこそ、向き合ってみんなで事実を確認し、共有しましょう。
子供といえども「水出しっぱなし!」「いつまでもダラダラTVを見ないで」と理由も言わず指図だけされると、理不尽な思いが募るものです。
なぜママがそう言うのか、家族を守るためのお金が、いまどのような状況で今後どんな工夫が必要なのか、そういった事を話し合うだけで、少なくとも家族全員に当事者意識が芽生えます。
せっかくの「ステイホーム」、工夫と家族のアイデアで、快適に過ごせるようにしたいものですね。
佐々木 愛子さん●佐々木FP事務所代表。ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種。国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。