くらし

【紫原明子のお悩み相談】一緒にいて悲しくなる彼との関係に悩んでいます。

『家族無計画』や『りこんのこども』などの著書があるエッセイストの紫原明子さんが読者のお悩みに答える連載。今回は前は優しかったのに最近は一緒にいて悲しくなることが多い、彼との関係に悩む女性からの相談です。

<お悩み>

私はバツイチの子持ちです。子供は成人して自立しています。離婚原因は夫のギャンブルと人格否定に近い暴言と束縛でした。20年続いた結婚生活のあと、やっと離婚する事ができました。
50を過ぎて、とても情けないのですか 数年前からお付き合いしている男性に対して相手の言葉や態度で、なんか嫌だな冷たいな、悲しいと思ったことなどを相手に伝えられません。
例えば仕事を頑張った自分にケーキを買ったと伝えると、「無駄使い」と言われたり、親が怪我をして手術をすることになり、不安で何を用意すれば?と聞くと「知らない」と言われたり、経済的に大変なので、副業をすると伝え弱音を吐くと、「自分で決めたことだろ」と言われる。全てだめだしというか、息苦しい返信。甘えさせてくれない、褒めてもくれない、認めてくれない、とても厳しく感じます。
それなのに月に一度休みをとって逢いにくる。休みの日は私を優先しているようですが それ以外では大切にされていると全く思えません。一緒にいる時も私の家ではお客さん状態。上げ膳据え膳、何もしません。何もしなくていいように私がしてしまったのだと思います。一緒にいても楽しくない、思いやりを感じないというか、甘えを許さない彼の姿勢に、この人は必要なのか?と考えてしまいます。イラッとしても言えない、私にプラスになる?と思うとならない気がするのに、自分から関係を切る事ができません。嫌いではないけど、好きでもない。でも優しくされると嬉しい。そんな飴と鞭のような相手、元夫と同じ?それとも私がそうさせてしまった?数年間は優しかったのに、ここ数年は、こんな調子で悲しくなる事が多くて、別れた方が良いのでは?と思うことも増えました。結婚は考えてません。昔は思いましたが、尊敬もしてないので今は結婚したい相手ではないです。こういう風に私がしてしまったのでしょうか?それとももともとこういう人だったのでしょうか?別れた方がお互いのためかなと思いますし、悲しい思いをしてまで付き合う必要はない気がします。

(恵子/女性/50代、会社員 子供二人、成人しています)

紫原明子さんの回答

恵子さんこんにちは。

いただいたお手紙を拝見していると、恐らく私が何かを言うまでもなく、書いていかれる中でご自身の望む答えにたどり着かれたのではないでしょうか。

恵子さんは前の旦那さんと離婚されたとのこと。20年も人格否定をされ続けながら、よくぞその状況から脱出されましたね。どんなに苦しい状況下にあっても、というよりももしかすると苦しい状況にあればあるほど、多くの人は自分の心を守るために、これは異常なことじゃない、おかしいことじゃないのだと思い込んでしまうものです。なぜなら、さまざまな暴力による心や体の痛みというのは、そのとき一瞬のものです。一方で、どうして自分はこんな目に遭ったのかという理不尽さとの葛藤は、その後いつまでももやもやとくすぶり続け、自分を苦しめ続けるからです。だからいっそ、これは何も理不尽なことじゃないんだと思って受け入れてしまえば、少なくとも暴力を受けたその瞬間しか苦しくならない。本当に悲しいことですが、より長く続く苦しみから解放され、自分を守るために、痛みの神経を麻痺させてしまうかのように、理不尽を受け入れてしまう人が少なくないのです。

だからこそ、20年間も続いてきた不健全な状況にきちんと終止符を打った恵子さんは、それだけでもうすごい偉業を成し遂げた人なんです。20年間、どんなに苦しい思いをしても痛みをきちんと感じ続け、最終的には痛みの元をきちんと断って、自分を守り抜いたということですから。

だから、どうか自信を持ってください。恵子さんは、これからの人生を自分の好きなように生きて、誰にも邪魔をされずに幸せになる道を、ご自身で勝ち取られたのです。自分に何が必要で、何が必要でないか、とっくにご存知のはず。今の彼との関係についても、ご自身の内なる声にきちんと耳を傾けさえすれば、答えは自然と見えてくるはずなのです。……でも、それだけではなんなので、今日はそのささやかなお手伝いとして、私から恵子さんにいくつか質問をさせてください。

恵子さんが離婚を決めたとき、前の夫の何が一番受け入れ難かったのでしょう?
離婚をしてから、恵子さんの生活はどう変わりましたか?
恵子さんはこれから、どんな人生を生きていきたいですか?
恵子さんは今、自由ですか? 不自由ですか?
もしご自分が恵子さんの大親友だったとしたら、今のご自分になんと言葉をかけてあげたいですか?
誰が何と言おうと、恵子さんが守りたい大切なものは何ですか?
今の彼は、そんな恵子さんの大切なものを、恵子さんと同じくらい大切にしてくれますか?

夫や家族という近い立場で恵子さんを縛り、不幸にする人がいなくなった今、恵子さんを不幸にも幸福にもできるのは、ほかでもない恵子さんただ一人です。一般的に正しいとされるあれこれからは、離婚した時点でとっくに自由になれましたよね? 年齢や世間体を気にして自分の気持ちを無視する必要はもうどこにもない。もっといえば、自分を不幸に留めておく言い訳だって、もうどこにもないのです。嫌なことは嫌と言っていいし、してほしいことはしてほしいときちんと口に出していい。これからはそうやってぜひ、より自分を幸せにする選択を、重ねていきましょうね。

イラスト:わかる

紫原明子● 1982年、福岡県生まれ。個人ブログが話題になり、数々のウェブ媒体などに寄稿。2人の子と暮らすシングルマザーでもある。Twitter

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