怨みを背負って生きていく修羅の子、雪。演じる梶芽衣子の出で立ちのキャッチーな美麗さに、とにかく惚れ惚れしてしまいます。潔いオールバックで強調された怜悧な額、口数の少なさを補って余りある、メラメラと怒りをたたえた射る眼差し。蛇の目傘に仕込んだ刀を抜き、白地の着物に返り血を浴びようと表情ひとつ変えず華麗に立ち回る雪の、完成されたキャラクター性たるや! マンガ原作だからこその振り切れた設定と、眼光で人を殺せそうな梶芽衣子の緊張感みなぎる佇まいがフュージョンした最高の女性ヒーロー、それが修羅雪姫なのです。
2010年代、ようやくハリウッドで、『ワンダーウーマン』や『キャプテン・マーベル』など、女性ヒーローが主役を張るアメコミ映画が作られるようになりました。しかし日本にはここまでスタイリッシュな女性ヒーローが、なんと47年前から存在していた! 裏を返せばそれだけ女性が理不尽な目に遭い、怒りや怨みを腹に募らせるお国柄ということか?
だからこそ修羅雪姫が人を斬れば斬るほど、血飛沫を浴びれば浴びるほど、得も言われぬ快感、解放感に、思わず喝采を送りたくなる。修羅雪姫は、日本が世界に誇るべき、女性ヒーロー映画のオリジンなのです。