くらし

【山田ルイ53世のお悩み相談】子供が欲しいですが気がかりなことがあります。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回は子供が欲しい気持ちに過去の経験がブレーキをかけてしまっている女性からの相談です。
  • 撮影・中島慶子

<お悩み>

山田ルイ53世さんはじめまして。いつも、山田さんの的確なアドバイスを見て「私も……」と、思い切って相談してみることにしました。

私は今、主人と二人で暮らしていて、「そろそろ子供が欲しい」と思っています。夫婦揃って子供が好きなので、子供を生むことには肯定的なのですが、私には一つ、気がかりなことがあります。
それは、私が高校に行けなくなってしまったことです。

詳しいことは省きますが、進学校の雰囲気にどうしても馴染めず、気づいたら学校に行けなくなってしまいました。それでもなんとか大学には進学したのですが、同級生がいい大学に通っている中、自分はあまりレベルの高い大学には行けず、今も心の傷になっています。
とても頑張って入った高校だっただけに、「なんで行けなくなってしまったのだろう」と今もずっと思っています。

こういう経験があるので、子供がうまれた時、「頑張ることの喜び」や「頑張ることで得られる何か」を、伝えられる自信がありません。「こんな私に教えられることってあるのかな……」と、考えるだけで鬱々してしまいます。
こんな私に何かアドバイスをいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

(ターキー/女性/散歩が趣味のクリエイター(30代)です。主人と二人で暮らしています。)

山田ルイ53世さんの回答

ターキーさんの不安は、分かる気がします。
筆者自身、ロクな人生を歩んで来なかったからです。

そもそも筆者は「頑張る」ことがそれほど大事だと思っていません。
ただ、「頑張る」際のモチベーションは重視しています。

この連載でも何度も書きましたが、筆者は子供の頃、「大人に褒められたい!」という一心で、勉学にスポーツにと励んできました。
これは弱い。
我が子にはそんな人間にはなって欲しくないと、慎重に接しています。

大体、1人の人間が別の人間に何かを教え、影響を及ぼし、育てられるなどと考える方がおこがましい……と思うのです。

ですが、悩んだり、失敗したり、上手く出来ないことも多々ある中で、一生懸命頑張って子育てする。その姿は見せることが出来ます。

相談者が子供に伝えたいと願っているのは、「頑張ることの喜び」、「頑張ることで得られる何か」。
それなら、あるのではないでしょうか。

結果、「行けなくなった」のかもしれませんが、高校に入学するにあたっては相当「頑張った」わけですから。

何より、筆者は、「頑張った」「成功した」経験より、「失敗した」「上手くいかなかった」「後悔している」ことを伝え、教えることができる人間の方が重宝すると思います。

頑張ったけど、不本意な結果になる……人生において、凄く貴重なデータです。
教えてあげましょう。

いずれにせよ、ピタゴラスイッチのように、巧妙にお膳立てしてやることなど出来ません。
人生はもっと複雑だからです。

筆者は長女が生まれた際、色々と思い描いたことがありましたが、まだ小2なのに、既にやれていないことが多々あります。
そんなものです。

第一、子供が好きで、「そろそろー」と考えていらっしゃるお2人なら、少なくとも「子供が好きだ」ということは教えてやれるのではないでしょうか。
我ながら、若干“素敵”で誤魔化した恥ずかしさは否めませんが、「頑張って」下さい。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。
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