くらし

おしゃれじゃないといっても、なにかその人のものがあるんですね――竹内清兵衛(高島屋専務)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、粋な着こなしを通して「おしゃれ」の本質に迫りましょう。
  • 文・澁川祐子
1978年11月10日号「自己主張の魅力」より

おしゃれじゃないといっても、なにかその人のものがあるんですね――竹内清兵衛(高島屋専務)

ファッション通の女性が、スタイリッシュだと思う男性を挙げ、その人物にインタビューをした記事。キャッチコピーには<違いのわかる女たちが推薦する「男のおしゃれ」>とあります。

そのなかでピックアップしたのは、スーツ姿でびしっときめている高島屋専務(当時)の竹内清兵衛さんの言葉。写真を見るに、ごくスタンダードな着こなしのように見えますが、グレーのスーツに黒い革靴ではなく、バックスキンのイタリア風の靴を合わせるなど、さりげなく着崩しているところが粋です。

そんな竹内さんにとって、おしゃれとは「その人」が滲み出るもの。おしゃれだろうが、そうでなかろうが、服装にはどこかその人らしさが現れる。たしかに考えてみれば、たとえ同じシャツを身にまとっても、着る人によって体つきもしぐさも異なり、同じものには見えません。ファッションというのは、着る人を得て初めて完成するものといえるでしょう。

そこを突き詰めていけば、<やっぱり、おしゃれっていうのは心だと思いますね>と竹内さん。<グレー系の服には銀の、茶系の服には金の時計をする>というこだわりには、やはりこの人物ならではの細やかな気配りが、着こなしになって表に現れているのだと納得です。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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