イラストレーターのメグ・ホソキさんが手みやげに推薦!紀ノ国屋のカスタードプリン
撮影・黒川ひろみ 文・黒田 創
何十年もずっと変わらない、気取らない思い出の味。
東京・表参道駅近くに昔からあるスーパー『紀ノ国屋』。メグ・ホソキさんはそのカスタードプリンが大のお気に入りだ。
「’80年代中頃、イラストレーター兼アートディレクターである藤枝リュウジさんの事務所で働き始めたんです。といっても雑用係で、コンビニもまだそんなにない時代ですからお使いはいつも紀ノ国屋。その頃からカスタードプリンはあって、自分のおやつによく買っていました」
そのプリンは卵の風味が豊かで、苦みのあるカラメルとの相性が抜群。
「舌触りも少しザラッとしていて、素朴な感じは変わりません。今でもたまに食べますし、イラストレーター仲間の家にお呼ばれした時など、持参しても相手にお茶などの気を使わせずにその場で食べられる。そんな気安さがあります」
当時のメグさんは青山の事務所で働きながら、自分の道を模索していた。
「学生時代セツ・モードセミナーで学んだものの、絵描きとしてはまだ何者でもない。その意味では藤枝さんの下で絵で食べていくノウハウを学びました。担当編集者との関わり方だったり、求められる絵を描くことの大切さだったり……。そんな中、事務所でデザインを請け負っていた雑誌の次号予告に入る小さなカットを描く機会を得られたんです」
カットを描き溜めて専門誌に応募したところ入選。以来イラストの仕事が増えていった。輪郭のない色鉛筆やパステルによる独自のカラフルな画風を確立したのは、その少し前の話だという。
「もともとは黒の線画だったのですが、藤枝さんに“線画で黒だとなかなか売れないよー”と言われて、当時事務所のスケジュール管理に使っていた色鉛筆ならどうだろう、と描いてみたのがきっかけ。藤枝さんが褒めてくれて、大きな自信につながりました。今思えばあれがターニングポイントだった気がします」
メグ・ホソキさん
イラストレーター
イラストレーター、アートディレクターの藤枝リュウジさんに師事した後に独立。雑誌『オズマガジン』の表紙イラストを27年以上務めるなど、女性誌や書籍の装画、児童書の挿絵などを数多く手掛ける。
紀ノ国屋インターナショナル●東京都港区北青山3-11-7 AоビルB1F TEL.03-3409-1231 営業時間:9時30分~21時30分、休みは施設に準ずる。卵と牛乳のシンプルな味わいに加え、バニラの風味とカラメルの苦みが楽しめる、1978年発売開始のカスタードプリンは、2個セット476円。青山店のほか新宿髙島屋店、東武池袋店ほか、全店舗で取り扱っている。
『クロワッサン』1014号より
広告