くらし

【紫原明子のお悩み相談】交際相手の気持ちや考えを勝手に推測して自爆しそうになります。

『家族無計画』や『りこんのこども』などの著書があるエッセイストの紫原明子さんが読者のお悩みに答える連載。今回は口が悪い彼氏との関係に悩む女性からの相談です。

<お悩み>
初めまして。 以前紫原さんが寄稿されていた文章を偶然拝見して、考え方や言葉選びに感動して、コラム等読んでいます。
私の悩みは「交際相手の気持ちや考えを勝手に推測して自爆しようとしてしまう」ことです。
今、付き合って1年ちょっとになる歳下の恋人がいます。 彼はあまり自分の気持ちを言葉にするタイプではなく、あまのじゃくで素直じゃない人です。 こちらとしては笑えない、冗談に聞こえない冗談を平気で言いますし、それが原因で何回か泣かされました。
一緒にいて楽しいし、基本的に笑いが絶えない関係なのですが、前述したようにグサッとくる冗談があったり、明確に好意を言葉で伝えてくれなかったりするので、「本当に私のことを好きでいてくれてるのかな?」「もう飽きちゃったのかな」「一緒にいて楽しくないのかも」……と、一人でぐるぐる考え始めるともう止まりません。 いい大人なのに、この恋に関してはネガティブモードが止まらなくなって 号泣して塞ぎ込むことがあってしんどいです。
こうやって自爆に向かってしまうことを止めるために考え方を変えようとしてみたのですが上手くいかず、途方に暮れています。 何かお知恵をいただければ幸いです……。 (相談者:サラ/女性/アパレル関係の営業をしている27歳です。未婚独身です。)

紫原明子さんの回答

サラさんこんにちは。一人でぐるぐる考えて泣いてしまう、重度の恋煩いのご相談ですね。

この恋に関してはネガティブモードが止まらない、と仰っているので、毎回こうなってしまうわけでもなさそう。ということはやはり、少なからず今の彼の影響によって今の状況があるんですね。

なんでも彼はあまのじゃくで素直でない人、さらにサラさんが笑えない冗談を平気で言って、サラさんを泣かせることもあるとのこと。彼は、サラさん以外の人にも同じような態度を取るのでしょうか。だとしたらちょっと心配なことがあります。サラさんがこれからもし彼と長いお付き合いをしていこうと考えているなら、いずれは彼と結婚して夫婦になったり、家族になるかもしれません。夫婦や家族というのは、恋人よりももっと社会性を伴う関係なので、二人で同じ場所に赴いたり、同じ友人や親戚と付き合っていくことがどんどん増えていくはずです。そんなとき、彼がとても冗談とは思えない冗談を言って周りの人を凍りつかせていたら、当然そこには不和が生まれてしまいます。嫌な思いをする人がいたり、怒る人がいたり。そしてそんな彼と夫婦や家族になってしまうと、サラさんもまた少なからず、そんな彼の生む不和のとばっちりを受けてしまう可能性があります。

また、もし彼がサラさんだけにキツい冗談を言って、ほかの人には言わないのだとしたら、やっぱりそれもそれで心配です。サラさんが傷つくと分かって言っているということなので。そういうタイプの甘えを許容していると、遅かれ早かれサラさんは、「彼女」ではなく、反抗期の息子を抱えた「お母さん」になってしまいます。

だから、いずれにしても彼には「人を傷つけるようなことを言わない」という基本的なルールを覚えてもらわなければ、これから長く付き合っていくのが大変そうです。

そもそも私達って、小さいころから少女漫画や小説といった色んなコンテンツで“ドSの王子様”の存在に慣れ親しんでしまっているわけですが、そのせいなのかなんなのか、恋人からひどいことを言われたり、強い感情をぶつけられたりする被虐を、寛大に許してしまいがちです。それどころか、快楽の増幅装置のように受け止めてしまうことさえありますよね。

たしかに、自分にだけ仕向けてくるという意味で特別待遇なのは間違いなく、この人のことは自分が一番よく知っている、という外向けのアピールのために発せられるものなら、場合によっては言われるほうもつい気持ちよくなったりします。親密な空気が濃くなるし、それによって刺激される欲望が必ずしも悪いものとも言えません。

とはいえ、ショックで涙が出るほど傷つけられ、それが何度もあるというのなら、やっぱりそれはモラハラなのではないでしょうか。愛情の裏返し、と自分に言い聞かせるその裏側で、自尊心や自己肯定感がゴッソリ削られ続けているかもしれません。そうなると、自分を守ったり、大切にしたり、労ったりするという当たり前のことが、当たり前にできなくなってしまいます。だから、彼との関係との中で生じる不安や不満を、全部自分のせい、自爆として収めようとせず、彼の良くないところはきちんと変えてほしいと伝えましょう。そしてもし彼が聞く耳を持たなかったり、変える気がないと言ってくるのであれば、彼との付き合いそのものを、一度考え直した方がいいと私は思います。

なぜならサラさんは本来、人から大切に扱われるべき人だからです。傷つけられて良いはずがない、幸福に生きるべき人だからです。それが当たり前のことなのです。自分を不当に苦しめたり、不幸にする要因を甘んじて受け入れてはいけません。自分の心と身体が健やかでいられる環境を自分で選び取っていくことで、そんな当たり前を少しずつ思い出していきましょう。

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イラスト:わかる

紫原明子● 1982年、福岡県生まれ。個人ブログが話題になり、数々のウェブ媒体などに寄稿。2人の子と暮らすシングルマザーでもある。Twitter

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