くらし

小泉武夫さんが語る魚食、「極上の味わいはアラにあり!」

  • 撮影・青木和義(小泉さん)、谷 直樹(商品) スタイリング・高島聖子 文・嶌 陽子

●小説で紹介されるアラ料理の例。
烏賊(いか)の腸煮(わたに)、
金目鯛の粗汁味噌仕立て、
鰹の腹皮(はらかわ)の生姜焼き、
鱧(はも)の皮煎りと皮膾(かわなます)、
真鱈の腸の塩辛、
(えい)の骨付き肉のスッポン煮 ほか

(小泉さんの著書『骨まで愛して』では、鮭皮茶漬け、鮪の中落ち茶漬けなど、締めの「粗茶漬けシリーズ」まである。)

「日本ほど魚のアラを使った料理や食品が豊富な国はないでしょうね。魚っていうのは、本当に捨てるところがないんですよ」

小泉さんの話を聞けば聞くほど、アラを食べたくなってきた。あらためて、スーパーや鮮魚店でアラを選ぶ際のポイントは何ですか?

「新鮮なものを選ぶことが大事。まずは匂いを嗅いでみてください。あまりに生臭かったら、新鮮ではないということ。それから頭を買う場合は目をよく見ること。目が澄んでいればいるほど新鮮です。目の周りに血がにじんでいないかどうかも基準になります」

家庭で手軽に作れるアラ料理も多い。代表的なのは粗汁や潮汁(うしおじる)など、アラを煮込むだけでできる汁物だ。小泉さん曰く、汁物を作る際の鉄則は、一度鍋に沸かした湯の中にアラをさっとくぐらせ、臭みを取ること。

「粗汁は鯛もいいけれど、平目のアラがすごく合いますよ。中骨やえんがわ、頭など全部煮込んで、味噌を加える。野菜は大根や玉ねぎがおすすめ。魚の生臭さを消してくれます。塩味の潮汁の場合は、臭み消しに生姜を少し加えるといいでしょうね」

奥深い味わいや食感を楽しめて、滋養もたっぷり。こんなにいいことずくめの食材を食べずに捨ててしまうのはあまりにもったいない。

「アラのおいしさを知れば、魚がもっと好きになる。ぜひともアラの魅力を見直してほしいですね」

『クロワッサン』1009号より

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