電車、トイレ、レストラン…。アップデート必須の公共マナー。
マナーコンサルタントの西出ひろ子さんにお話を伺いました。
イラストレーション・五月女ケイ子
「マナーは型が決まっているものだと思いがちですが、実は常にこうでなければいけないという正解はありません」と西出ひろ子さん。状況によって変わることがあっても問題ないという。
「公共の場は気心のしれた友人とのホームパーティーとは違って、さまざまな立場、年齢、価値観の人がいます。自分が考えるマナーを当たり前だと思わず、柔軟に対応しましょう。その場にいる全員が気持ちよく過ごすためには、どうするのが一番よいかを軸に考えられるといいですね」
そこで肝になるのが、相手を優先する「Afteryou(お先にどうぞ)」の精神だという。
「次の人がスムーズに通れるようにドアを開けて待ったり、行列に並ぶときに急いでいる人がいたら順番を譲ってあげたり……。周りに対するさりげない気遣いとして、マナーが存在するのです。少しずつ変わりゆく公共マナーの最新版をご紹介しますので、普段の自分の振る舞いを見つめ直してみるのをおすすめします」
【公共交通機関】 濡れた長傘は一度拭いてから「マイ傘袋」へ。
雨の日。申し訳ないと思いつつ、びっしょり濡れた傘を持ったまま満員電車に乗り込む……。
「本来なら折り畳み傘を使うのがベスト。鞄に入れられて、近くにいる人を濡らさずに済むからです。もし長い傘を使うのであれば、電車に乗り込む前に手持ちのタオルで水を拭き取るなど、周囲への配慮があるといいですね。最近では傘袋だけでも売っているので、マイバッグならぬ“マイ傘袋”を持ち歩いてみるのはいかがでしょうか」
【公共交通機関】 電車で目の前の席が空いたけど座らないのって……。
「特に優先席付近で多く目にするのが、目の前の席が空いても座らない人。
“優先席だから座っちゃいけない”と遠慮してしまうのかもしれませんが、混雑した車内に限っては、席が空いているのに座らないことで周囲に迷惑がかかっているかも。優先席は決して“座ってはいけない席”ではありません。車内に余裕をもたせるためにも、軽く会釈して座りましょう。もしくは、近くの人に“どうぞ”と声をかけて譲ってみてください」
【公共交通機関】「後ろに倒しても いいですか?」は やはり聞くべき?
新幹線で座席を倒す前に、後ろの人への声がけは必要?
「声がけは決して義務ではありません。仕事に集中していたり、熟睡中の場合は声をかけられたくないという人もいるでしょう。後ろの人に軽く会釈をしながら、“ゆっくり”倒す。これだけで充分丁寧です。突然勢いよく倒すのはあまりに無礼ですし、飲み物がこぼれてしまう可能性もあり危険なのでやめましょう」
最大限まで倒すと迷惑になる場合があるので角度も調整して。
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