さて、その手軽さとは別に、落語のルーツのひとつが、お坊さんの法話であるという歴史からでしょうか、お寺を会場とした落語会も数多く開催されています。そして本堂などでおしゃべりしてみると、とてもしっくりくるんですよ。昔のことは知らないのに、何だか落語のふるさと、原点でおしゃべりしているんだな、という気分は、まさに落語日和です。
先日も福井県の二ケ所のお寺さんで独演会をさせていただきました。どちらも本堂はたいへん古い建物で、その雰囲気は何ともいえぬ心地よさでした。ただひとつ困ったのは空調設備のないこと。両日とも九月もなかばだというのに昼間は30度を超す猛暑、クーラーのない本堂に満員のお客さまで、夜公演でしたが暑いのなんの。二時間のおしゃべりでいったいどれ程汗をかいたかしら。まァ、お客さまにウケなくてかく冷や汗よりはマシですけどね。