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落語会の開催される場所をご説明します。│柳家三三「きょうも落語日和」

イラストレーション・勝田 文

落語会の開催される場所をご説明します。│柳家三三「きょうも落語日和」

落語は大がかりな設備を必要としません。少し広めの空間があればそこがお客席、畳一〜二枚分の広さの台の上に座布団を敷けば、そこが高座と呼ばれる舞台です。それゆえ地域の公民館や料理屋さんの二階座敷、もっと小ぢんまりしたところではスナックのカウンターを高座にして、10人に満たないお客さまの前で演じることもよくあることです。

おことわりしておきますけど、狭い会場だからその人数でも楽しく聞いていただけるんです。千人以上入る大ホールで10人以下……考えただけでも身ぶるいしてしまいます。ちなみに私の経験したいちばん少ないお客さまの数は、一人です。お客さまと一対一、ほぼ面接です。

さて、その手軽さとは別に、落語のルーツのひとつが、お坊さんの法話であるという歴史からでしょうか、お寺を会場とした落語会も数多く開催されています。そして本堂などでおしゃべりしてみると、とてもしっくりくるんですよ。昔のことは知らないのに、何だか落語のふるさと、原点でおしゃべりしているんだな、という気分は、まさに落語日和です。

先日も福井県の二ケ所のお寺さんで独演会をさせていただきました。どちらも本堂はたいへん古い建物で、その雰囲気は何ともいえぬ心地よさでした。ただひとつ困ったのは空調設備のないこと。両日とも九月もなかばだというのに昼間は30度を超す猛暑、クーラーのない本堂に満員のお客さまで、夜公演でしたが暑いのなんの。二時間のおしゃべりでいったいどれ程汗をかいたかしら。まァ、お客さまにウケなくてかく冷や汗よりはマシですけどね。

柳家三三(やなぎや・さんざ)●落語家。公演情報等は下記にて。
http://www.yanagiya-sanza.com

『クロワッサン』1007号より

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